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①視線

初めての連続小説に挑戦。

短編も書き始めたばかりだと言うのに、いきなり手を出してしまいました。

さてさて、これからどういう展開で広げていけるか自分でもわかりません……

どうか見守っていただけると嬉しいです。

俺の隣を歩く彼女は、いつだって背筋が伸びていてそんな彼女が俺は綺麗だと思った。でも、俺が彼女の横をずっと歩き続けることが出来るわけじゃなかったんだ。



下校時刻になってクラスメイト達が帰宅準備をしている中、俺はすぐには家に帰る気になれなかった。放課後、部活に向かう人の姿を教室の窓から眺め一人溜息をつく。机に肘を付き手に顎を乗せたまま、ただぼーっとして外を見続けていた。


夕日が山に隠れ始め、空をオレンジと青紫のグラデーションで彩る。そんなゆっくりとした時間を何も考えず過ごしていると、ふと目線の先に紺色の道着を着た女子が通る姿が見えた。夕陽を浴び彼女の足元に大きな影ができる。風に揺れる黒髪がオレンジと混ざり、色を変え紅に染まる。

俺は目を離すことができなくて、彼女をひたすら目で追い続けた。彼女の姿が建物に遮られた瞬間、何かに操られたかのように急いで荷物をまとめ、教室を飛び出していた。


息を切らせながら彼女の歩いた軌跡辿る。行き着いた先の道場の扉は完全に開放されたままになっていて、中の様子全体を見ることが出来る。そんなことをありがたく思い彼女の姿を探した。道場の中は息遣いひとつ聞こえない静寂に包まれ、皆が正座の姿勢で円を形どっていた。

(………あの人だ。)

なぜか直感でそう感じ、彼女を視界に捉えた途端に心臓が跳ねた。息が苦しくなり呼吸が荒くなる。だが目線を逸らすことはできなくて、座っている彼女の背筋がすっと伸びた姿が映像として頭に焼き付いた。


顔の熱気が抜け切らないまま、ふらりとその場を離れ校舎の柱に身体を預け座り込んだ。繰り返される映像が脳内を支配し、俺はしばらく柱にもたれたままうずくまり、その場から動くことが出来なかった。



目が覚める前、彼女は俺を見つめて微笑んでいた。夢のはずだったのに何故かリアルな感覚として彼女の姿が浮かび、動悸が激しくなる。だが、彼女と一言も言葉を交わすことは無かった。

(声、聞いてみてぇ……)

そんなことばかりを考え学校に着いてからというもの、窓の外を眺めては彼女の残像を追った。


「遥希ー、今日ずっとぼけてるけどどしたー? 寝不足?」

急に声が耳元でしたかと思うと、友達の悠が前の席に腰掛けていた。いつもは何となく前を向き授業の話を適当に受け流していたので、今日のように全く前を向くことなく窓から目を離さない姿を、後ろの席から悠は不思議がっていたのだろう。

「んー、寝不足って程ではないわー。 ……


なぁ悠、剣道部にさ黒髪ロングの女子部員のこと知らない?」

彼女のことを全く知らない俺は思い切って悠に情報を求めた。

「さぁ、俺あんまそっち行かないからな。 剣道部の奴に聞いておこっか?」

運動部でも野球部に所属している悠は、顔が広いので少しでも気がつくことがあると思ったのだが、残念ながら何も知らないようだった。

「あー、うん、頼むわ。さりげなくでいいんで。」

「でもどうした? 何、気になる子でもできたわけ?」

悠は少しニヤつきながら前のめりになって聞いてくる。

「まぁ気になるっちゃ気になってるんだけど、ただ見かけただけで何も知らねーし。 あんな人いたっけなー、みたいな。」

「ふーん、ま、何かわかったらすぐ教えてやるよ。」

今まで自分からこういった話を話題に出したことがなかったので、悠はなんだか珍しがってテンションが上がっているようだった。


放課後になり、昨日と同じくすぐには席を立たず外の様子を窺った。

(今日もまた通らねぇかな。)

しかし昨日と似たような時間になっても彼女が現れることはなかった。

(部活、今日は休みなのかねー)

どうしても気になってしまって道場の方に行ってみようと思い、荷物をまとめていたら勢いよく教室の扉が開いた。

「遥希! 良かった、まだいたわー! さっきさ、昼に話してた女子のこと聞いてきたんだけどよ、俺今日は筋トレだけで終わったし帰りながら話そうぜ!」

悠が少し興奮気味なった状態で入って来た。とりあえず頷いて荷物を手に取り、校舎を出て歩道を2人並んで歩く。

「剣道部の友達が結構いろいろ話してくれてさ、多分遥希が言ってた人って一個上の先輩らしいんだわ。 3年のカナ先輩っつーんだって。」

そして悠は不敵な笑みを作り、そのまま後を続けた。

「んでさ、今、フリーなんだとよ!!」

(ふーん……)

表向きは表情を変えはしなかったが、内心顔がほころびそうになるほど浮ついていた。

だが急に先ほどまでの態度と一変し、しおらしさを漂わせ悠はどもりながら言葉を口にした。


「ただ、……先輩好きな人がいる……っていう噂もあるらしくてさ。 それも結構…長い間思い続けてる相手だって話なんだけど……」

悠はそのまま口を閉ざし、俺の表情を探るように目だけが俺を捉えていた。


②>続く……

一話目は少しテンポが悪かったかもしれないですね。

次への展開、読めちゃった人、いるのかな…

さて続きの2話では、遥希にちょーっと何かあるんです。

作者もまだ結末が落ち着かなくて今後どうなっていくか作成しながら模索中です。

よろしければ、今後もお付き合い下さい^ ^

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