記憶
――なんだ、お前。
――え、あ、あの僕、今日から一年実習でお世話になる者なんですが……。
――ああ、担当なら俺だ。お前、名前は。
――ル、ルエル・レイといいますっ。あの、あなたは。
――俺はロゼアだ。ロゼア・アルルス。
――あのっ、アルルスさん、今日から、よ、よろしくお願いしますっ。
――ロゼアでいい。あと、オドオドすんな。うざい。
――はいっ。ロゼアさん、よろしくお願いしますっ。
――ロゼアさん?
――なんだ。
――今度の初遠征、ハロウィーンの長期遠征なんですよね。
――ああ、三十一日から一週間だ。
――なにか、用意するものとかありますか?
――俺のほうで持っていくから要らん。
――え、持っていってくれるんですか。なんか優しい!
――違う! それに俺がいつ優しくなかった! 大事なもの持ってくからお前に触らせて壊されんのが嫌なんだよ!
――え、でも、なんか嬉しそ……
――おい! 違うつってんのが聞こえねーのかこのスポンジ頭!
――痛い、ロゼアさん痛いですっ、頭が捥げるっ!
――おいっ、ルエル! 何やってんだ!
――ご、ごめんなさいぃ!
――また吸血鬼に取られやがって! 俺の今年の生活費どーするつもりだ、毎月の遠征だけじゃ足りねぇんだぞ! 今がチャンスなのに!
――……ロゼアさん、風邪引きますよ。
――要らねー、風邪も引かねー。
――ほらー! 寒いですって!
――お前は俺のオカンか!
――もう!
――だから! 要らねーって! こんなんでどーにかなるわけねーしダセーし!
――風邪引くよりいいじゃないですか!
――お前はそのご老体を連れてどこか建物の中へ逃げろ。
――でも、ロゼアさんはどうするんですか!
――俺はこいつらを食い止める。
――無理ですよロゼアさん!
――黙れ!
――ふざけたこと言ってんな、このままじゃどの道全員地獄行きだ、お前らまで守れねぇんだぞ!
――分かったらさっさと行け。
――「ルエルッ!!」