【1-6】 妾腹の子 中
【第1章 登場人物】
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【世界地図】 航跡の舞台 ブレギア国編
【家系図】カーヴァル家 ホーンスキン家 オイグ家
帝国暦365年5月、帝都・ブレギア領主の屋敷に、レオンは誕生した。
しかし、敵対陣営だったオイグ家の血を引く若君である。その生誕はカーヴァル家に歓迎されなかった。
帝都では多数のオーラム派と少数のカーヴァル派の小競り合いが続いている。オイグ家は前者に与していたが、後者によって滅ぼされていた。
カーヴァル家には、クルロフという嫡男が既に存在した。
次男は早世、三男は視覚障害によりルイド教派の僧籍に入っていたため、事実上、レオンは2人目の男児である。
男児2人は古今東西、お家騒動の火種となる。
血族や配下が、それぞれの男児を旗頭にして主導権を握ろうとするからだ。最悪の場合は共倒れ、片方が生き残ったとしても家の勢力は大いに減退する。
フォラとその配下たちは慎重だった。長男派と四男派にカーヴァル家が割れるようなことになっては、強大な政敵に立ち向かうどころではなくなる。
生まれて間もなく母・エジンから引き離されたレオンは、キアン=ラヴァーダとともに大海を東へ渡った。フォラの幼馴染は、騒動を未然に防ごうとしたのである。
こうして、新国家が生まれようとしていた草原の地で、乳母のもと乳兄弟とともに、レオンは育つことになる。
同地の執政のため、海を渡ってくる父配下の逸材――ラヴァーダ・バンブライ等から、文武一流の教育を施されつつ。
敵対勢力の子だからといって、逸材たちが指導に手を抜くようなことはなかった。
金髪に大きな水色の瞳――絶世の美女たる母親の遺伝子を大きく受け継いだ愛らしさ――も、彼等の庇護欲を刺激したのかもしれない。
海を渡ってしばらくすると、レオンは母方のオイグ姓を名乗らされた。
ブレギア国史に記載がないため判然としないが、かなり早い時期に改姓は行われたようだ。
帝国歴368年の皇帝代替わりの折、各地の貴族領主から誓紙が差し出された。旧ヘールタラ領・フォラ=カーヴァルも新帝への忠誠を太陽神に誓っている。
その起請文には、クルロフ=カーヴァル等兄たちに続いて、「レオン=オイグ」の姓名が見られる。
それは、カーヴァル家御曹司としての地位を捨てさせられたことを示していた。
レオンは長じた後、父によって滅ぼされた帝国名族――オイグ家の跡を継ぐものと内外に見なされていくのである。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
第1部から、ウテカ以下、ホーンスキン家の者たちが、レオンになかなか服従しようとしなかった事情が分かった方、このページの下側にある「ブックマークに追加」や「いいね」ボタン、【☆☆☆☆☆】をタップいただけましたら幸いです。
レオンたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます。
【予 告】
次回、「妾腹の子 下」お楽しみに。
フォラ自身も、海の向こう――レオンが暮らす草原へ亡命を余儀なくされたのだった。
帝国本土を落ち延びる折、彼は愛妾・エジンとの離別を余儀なくされた。
別れは、一時的なものになるはずだった。




