5話「死神」
「はぁ」
授業中。
保健室に行くと嘘ついて、屋上にいる。全体的にこの学校の生徒は真面目だからか、そもそも屋上に来る人は少ない。
「ふーん、サボりか」
「関係ないだろ。…………え!?」
知らない人の声が聞こえて、振り返る。
でも、誰もいない。
「え?」
「ああ、もうこっちだよ」
頭上から声が聞こえ、ばっと上を見る。
「え、だれ?」
宙に浮かんでいる少年っぽい青年。黒くてすっきりとした髪に、真っ黒な服。前髪には白のメッシュが入っている。
「……はぁ、なんでこんな奴に俺が見えるんだよ」
「は……?」
朝陽の目の前まで降りてきて、朝陽の顔をじっと見つめる。
「見えるんだろ。はっきり答えろよ」
「み、見えます」
大きな圧を感じ、正直に答える。
この感じ、前もあったような。
「はぁ、だったらさっさと答えろよ」
唖然として、思うように状況を理解できない。
「俺は死神のアラタ。前、俺のこと見えてただろ。だからきてやった」
「え、俺死ぬの……?」
とうとう迎えがきてしまった。いや、いくらなんでも急すぎる。
「ちげえよ。お前が死ぬんじゃなくて、お前の兄だよ、兄。宮野海音。あいつは手術を受けて死ぬ。それを伝えにきた」
ふと思い出した。この圧のような感じ。
『もう、楽になりたい』
そう言った海音から感じた圧。それと似ている気がする。
「え………?」
海音が、死ぬ?
「本当に………?」
「ほんとうだよ。死神なんだから俺は」
「手術を受けなければ………」
「副作用で死ぬ」
「薬をやめれば……」
「悪化して死ぬ」
「あ………」
助かる道が、ない。




