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死神さん  作者: もか
第1章「双子のはなし」
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4話「楽になりたい」

それから数日後。

海音はその後症状が悪くなり、面会を控えるように言われた。

ずっと心配で、家でも学校でもそわそわしてしまう。

学校が終わり、家に帰って何もせずただぼーっとしていた。

プルルル。

「!」

電話が鳴り、即座にリビングへ行って電話に出る。

「はい、わかりました。すぐ行きます!」

病院からの電話。容態が悪化し、かなり危険な状態になっていると。

居ても立ってもいられずに、両親に連絡を入れ家を飛び出した。

病院に着き、受付をして、海音がいる病室に案内してもらう。

海音がいる病室に着き、ノックをして中に入る。

「っ……!」

そこには、前に会った時より弱々しい海音がいた。

はーはー、と浅い息をし、目には涙が。

海音であり、海音ではない。

そんな、信じたくない光景だった。

「ぁ、さ、ひ?………」

「あ、海音………?」

思わず駆け寄って海音の表情を伺う。

「げ、んき?」

「う、うん。元気だよ」

「よか、った」

目を細め、笑う海音。その拍子に瞼に溜まっていた涙が溢れた。

ピーピーと心電図の音がうるさく響く。

「朝陽くん、ご両親は?」

いつもの看護師さんが話しかけてきた。

「今こっちに向かっています。ちょっと時間はかかるけど」

「じゃあ、先に朝陽くんに伝えるわ。ちょっとこっちにきて」

看護師さんと一緒に病室を出て、開いている部屋へ行く

「今、海音くんは薬の効果よりも副作用を受けている状態で、体が弱ってきてる。このまま薬の投与を続けるよりも、まだ元気な状態で手術をした方がいいと判断している。手術が成功すれば、海音くんの病気は完治する。でも成功率は限りなく低い。……手術をするかは家族みんなで相談して決めてね」

「……わかりました」

そう返事をして部屋から出る。

海音のとこへ戻ろうとしたけど、そんな気力もなく廊下にある椅子に座る。

「はぁ」

手術……。

海音は手術以外は乗り越えてなんとかなっていた。

でも、とうとうこの時が来てしまったんだ。

「ふぅ」

ひと息ついて、海音の病室に行く

ノックをしてガラガラとドアを開ける。

「嘘、つき!出てって!」

ドアを開けた途端響く声。

その声は海音のものだった。

「あ……」

看護師さんが顔を青ざめ、病室から出ていった。

「海音……」

「あさ、ひ…………」

ポロポロと涙を流しながら右手をこっちへ伸ばす海音。

「だ、大丈夫だよ。大丈夫だから………」

海音の手をぎゅっと握り、海音を落ち着かせられるように大丈夫と言い続ける。

「ぁたっ、ちゃった。かん、ごしさんはなにもわるく、ないのに」

「……大丈夫、大丈夫。看護師さん優しいから許してくれるよ」

「うぇっ、ひっぅ」

苦しそうに嗚咽を漏らし、ぐしゃぐしゃな顔で泣き続ける海音。

「大丈夫だから、泣かないで……」

肌触りのいいティッシュを取り、海音の顔を拭いてあげる。

「大丈夫、大丈夫。落ち着いて」

「はぁ、ひぅっ、はぁ、ふぅ」

少しずつ落ち着きをとり戻す海音。

「落ち着いた?」

こくん、と海音は頷き一息つく。

「海音、手術の話聞いたんだけど……どうする?母さんたちとも話し合って決めないと……」

「どうすればいいの?」

「え?」

静かに海音が言った。辛そうな声で。

「くすりをつかえば、なおるって、いってたのに……」

「………………」

「くるしいだけだよ……」

またポロポロと涙を流し、悲痛な声で海音が言う。

「と、とりあえず家族で話して……」

「ねぇ、……」

「何?」

海音の顔をまた拭いて、ティッシュをゴミ箱に捨てる。

「甘えても、いい?」

「え?」

甘える?急にどうして…。

点滴がさしてある両手を朝陽の手に添え、口を開く。

「もう、楽になりたい」

「!……っ」

「おね、がい……」

一筋の涙を流し懇願する海音。

「な、んで」

ただただ困惑して、現実を受け入れられない。

「…たす、けて」

「おねがいだから」

それでも海音は現実を突きつけるように助けを求め続ける。

でも……。

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!」

俯いて思いっきり叫ぶ。

「……………」

無言のまま海音は朝陽を見つめる。

「海音は、……死んじゃダメ!」

ものすごく怖い。

どこからか、大きな圧を感じる。

海音のまわりに黒いモヤがあるような気がして。

「でてって」

「え?」

「でてってよ!」

「あ、ごめ………」

「でてって!はやく!」

「っつ……」

海音に言われるまま病室を出る。

そのまま座り込む。

「海音………」

もう、どうすればいいんだろう。


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