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死神さん  作者: もか
第2章「死神と生贄のはなし」
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11話「救いたい」

「アラタが、生贄になるってこと…?」

そう言うと、アラタは気まずそうに視線をそらした。

その動きで答えを悟ってしまい、手の力がさらに強まる。

こんなの、絶対おかしいに決まってる。

合意なく捧げられたとはいえ、一応村の住民。この時さえ我慢すれば、村のためにも自分のためにもなるはずだ。少なからずメリットはある。

でも、アラタとは村で会ったことがない。おそらく村には住んでいないと思う。全く無関係の人間を巻き込むのは、おかしいと感じてしまう。

優の手を軽く振り払い、真剣に向き合う。

「大丈夫大丈夫。生贄の代わりの役目をするだけ。そもそもこの空間に住んでるようなものだから、遠慮しなくていいよ」

「…………」

余裕そうに笑うアラタを見て、なんともいえない気持ちが湧いてくる。

「アラタは……人間じゃないの?」

あの世とこの世の狭間の案内人。

人間か人外か微妙なラインに立つアラタは何者なのか。

「さぁ、どうだろうね」

先ほどと似ているようにも見える笑みでアラタは答えた。

どこか切なさそうな、悲しそうな感情も含んだその笑みは、アラタの底知れない闇を感じる。

救いたい。

その言葉が頭の中に浮かんだ。

できることならば、アラタのことを救いたい。アラタが何を思って闇を抱えているかはわからないが、とにかくこの空間から二人で抜け出したい。

「アラタ、一緒にここから出よう!俺はアラタが人間でもそうじゃなくても、一緒にいたいから」

「さっきまで信用してなかったのに、急にどうした?嬉しいけどそれは無理だよ。どっちかはここに残らないといけない、絶対に」

「でも………」

「俺は、好きでここにいる。だからユウとここを出るつもりはない」

少しずつ感情がおかしくなっている気がする。上がったり下がったり落差が激しくなっている。自分の心についていけない。

だからだろうか、おかしな方向に思考が向くのは。

「俺ちゃんと帰るよ、一人で。だから、一つだけアラタの言うことなんでもきく。そしたら、アラタの気持ちは晴れる?」

「……俺、落ち込んでるなんて一言も言ってないけど」

「俺が、なんかモヤモヤするの!」

思いのままアラタに言葉をぶつける。

「ユウって神様とかじゃないでしょ。もし俺が無理難題言ってきたらどうするの」

「大丈夫。アラタは優しいからそういうのは言わない」

「信用しすぎでしょ俺のこと」


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