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死神さん  作者: もか
第2章「死神と生贄のはなし」
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8話「不幸」

どれくらい歩いただろう。ただ暗闇の中、手を引かれるだけ。

終わりが見えない闇に、少しずつ恐怖心が芽生えてくる。

ふと、アラタの足が止まった。無言で正面を向いている彼の表情は見えない。

「そろそろ出口だよ。少しだけ連れてってあげるけど、途中からは一人で行って。真っ直ぐ行けば大丈夫だから」

「…わかった」

少し不安な気持ちになりながらも答える。

「……疲れてきちゃった?少し休む?」

「大丈夫です」

「……早くここから出たい?それともゆっくりでも大丈夫?」

「ゆっくりでも大丈夫です」

「じゃあ休もうか。座って」

その場に座り込んだアラタを見て、同じように座る。

「ここは時間という概念がない。騒ぎさえしなければ無事帰れる。大きな声を出せば殺されちゃうけど」

「ころっ…!」

ついびっくりして声を出すとアラタに口を塞がれた。

「…そういうのだって」

「す、すいません」

「何事もなかったからいい。次からは気をつけろ」

「は、はい。……あの、殺されるって誰にですか?」

「それ、聞いちゃうんだ」

少しニヤっとしてアラタが言った。

「え?ダメ、だった?」

「いや、聞いても後悔しないなら」

「…‥‥聞かせてください」

少し悩んでから答えた。

「…いわゆる妖怪とか幽霊だよ。あの村から吸い取った不幸によって、生み出された。そいつらは生まれて数年したら人の魂を喰うようになるからね。その前に倒すのが望ましい」

「不幸……」

ふと思い出した。清水と内田が言っていたことを。

『作物は育つし、天気もいい感じに収まるし、そこまで大きな事件は起きてないし』

『世帯数は少ないとはいえ、深刻に過疎化が進んでいるというわけでもないし。やっぱり神のご加護でもついてるんじゃね』

村にとってマイナスなことはあまり起きてない。今回のレポートによって気づいたことだ。

でも、それは本当に人ならざるものが関わっていたからなんだ。

「かしわ神社が村の不幸を吸い取る場になっている。だから、お前はいわゆる"生贄"だ。化け物たちが村を襲ってこないようにするための」

生贄……?

「じゃあ、やっぱり俺…」

死ぬんじゃ。

そう言う前に、アラタが口を開いた。

「ここにいるのはユウだけじゃない。そのために俺がいる。それに、殺さずに神社で飼うことも生贄と呼ぶしね。だから大丈夫、死なせはしない」

命を捧げられているのか、身を捧げられているのかわからないが、少し安心する。ただ、アラタを信用してもいい相手かは、いまだに謎だが。


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