3話「かしわ神社」
「そっちはどう?」
「ううん、ないっぽい。優は?」
「俺も、特に……」
神社とその周辺を散策したが、収穫はなし。ただ蝉がうるさいだけだった。
「木多くて迷子になるとこだった。スマホって便利だな」
「意外と森の中でも電波繋がったよね」
「柏の木はなかったし、鶏いなかったし、やっぱ適当ってこと?」
内田が賽銭箱を中を覗く
「さっき俺たちもお参りしたけど、今でもきてる人絶対いるよね」
「…ほんとだ!明らかに最近の五円玉ある」
「でも普通じゃない?村から出ずに神頼みするにはここしかないし」
「いや!量がおかしい!何人か毎日通ってないとこんなにならない」
二人の横から賽銭箱を覗く。
「......!こんなに……?」
正直に出た感想。お参りする時には気づかなかったが、溢れそうなほど小銭が入っている。集合体恐怖症はきつそうなぐらいに。
「元の賽銭箱の小ささも関係してるだろうけど、だとしてもだよ。多すぎるって!」
「いつから溜まってんだろ、これ」
「それにもよるね。何十年も前ならまだわかるけど、見える範囲ではそこまで古くなさそうだし」
三人で考えるも、いい感じの説さえ出てこない。
「何してる!」
「わっ!」
後ろから怒鳴り声がして、びっくりして振り返る。
「じ、じいちゃん……?」
『片瀬村長!』
「…優、何をしてた」
三人で賽銭箱を覗く後ろ姿が流石に怪しかったのか、じいちゃんがキツく聞いてくる。
「夏休みの宿題でレポートがあるんだ。それで、この村をテーマにして調査してたんだ。なんでこの神社が『かしわ神社』というのか」
「……賽銭泥棒じゃないんだな」
「そんなことしないよ!」
「そういうことならいい。ただし、神社を荒らすようなまねはするな」
「わかった」
いくら血が繋がっているとはいえ、じいちゃんとの折り合いはあまり良くない。小さい頃は可愛がってもらった記憶はあるが、同じ家に住んでいるわけでもないし、今は他人に近い。
「あ、あの!村長、俺たち神社について結構調べたつもりなんですけどあまり情報がなくって。話せる限りでいいので『かしわ神社』について何か教えてくれませんか?」
清水が頭を下げてお願いする。
「俺からもお願いします!」
内田も一緒に頭を下げ、頼んだ。
「…じいちゃん、二人ともすごく頑張って村のこといっぱい調べたんだ。三人でいい発表をしたいから、お願い!村のこと教えて」
じいちゃんに頭を下げるなんて初めてだった。いつも意地を張って、何をしてもちゃんと謝ったことはなかったから。
姿は見えないが、じいちゃんがびっくりしているのがなんとなく分かった。
「話せる範囲までな」




