2話「村」
適当に机に座りタブレットを開いて、迷惑にならない程度で話し始める。
「えっと、村の歴史や名前の由来、店や建物の紹介、長所と短所、結論、でいいのかな。調べて詳しくわかったことそれぐらいだし」
「優に手伝うもらう前よりは情報増えたけど、やっぱなんもない普通の村だね」
「そういえば、二人はなんで村をテーマにしたの?」
『自由レポート』だから別にテーマはなんでもいい。自分が好きなものでも、楽に終わらせられるものでも。なのに、わざわざやりにくいテーマにした理由を聞いていなかった。
「えー、地元愛っていうか、先生たちからいい反応もらえるじゃんっておもって」
「内申点目当てか」
「でも調べてみたら意外と楽しくない?ど田舎だし都会と比べればって思ってたけど、いいとこばかりだし」
「まぁそのいいとこ、っていうのが都会とワンセットで考えたらなんだけどな」
「たとえばどんなところ?」
村の歴史以外は二人に任せていたため、世間一般的なイメージはわからない。ど田舎ってところぐらいしか。
「この村って田舎ではあるけど、そこまで不便じゃないじゃん。バス一本で都内に行けるし、家賃とかも利便性を踏まえてもかなり安い。都会よりは空気もいいだろうし、一応小中高揃ってる。村だけで暮らすにはしんどいかもしれないけど、都会もセットにできるから色々楽だなって。親とかも大体村から出て仕事してるだろ。最近物価高とかどうとか言ってるけどあんま影響受けてないし、作物は育つし、天気もいい感じに収まるし、そこまで大きな事件は起きてないし」
「なんか最後らへん運要素絡んできた気するけど、まぁ不自由なく暮らすには申し分ないな。じいちゃんばあちゃんも長生きしてるし、世帯数は少ないとはいえ、深刻に過疎化が進んでいるというわけでもないし。やっぱり神のご加護でもついてるんじゃね」
「確かに。神社あるし」
二人が調べたことを簡単にまとめつつ言った。全然資料がないと言っていたが、かなりの情報量だ。
「あの神社名前なんっていうんだっけ。いっつも忘れるんだよな」
「"かしわ神社"、だったと思う。ひらがなで」
「あ、それだ。あそこ建物とか鳥居とかに名前書かれてない、というか消えてるし、最近建てられたとしか思えない看板みたいなやつぐらいしか、名前書かれてなくない?」
「なんの神様が祀られているかわからないしね。かしわってどういう意味だろう」
「調べてみるね」
スマホを取り出して、ひらがなで「かしわ」と調べる。
「……鶏肉って出てきた。かしわ肉」
「なにそれ」
「白い鶏じゃなくて、茶色い鶏の肉のことを言うらしい。かしわ天ってここからきてるのかな?あと柏餅の柏の木ぐらいしか出てこない」
「ひらがなだから何が合ってるか全くわからない」
「優ん家には神社関連の書物なかったの?」
「特に。かしわ神社っていう名前で、いつ建てられたか不明としか書かれてなかった。ん?」
「どした?」
闇雲にスマホで調べていくと、「かしわ」と調べるときに気になる変換があった。
「ねぇ、「かしわ」って打ったら予測変換に「神集」って出てきたんだけど…何か関係してるかな?」
「よし!今すぐ調べろ!」
「ら、ラジャー!」
清水に頼まれ、検索する。
「……かみあつめ?って出てきたんだけど」
「どういう意味?」
「そのまんま。神を集めて祀る、だって。他にも色々あるけど、かしわとは読まない」
「じゃあなんで「かしわ」で出てきたんだよ」
内田の言う通りだ。少し腑に落ちなくて、もう少しスクロールする。
「あ!……ん?」
「どした?」
「この「神集島」、「かしわ島」って読むみたい」
「どこにあるの?」
「佐賀。しかも漢字は当て字っぽい」
「佐賀は遠いなぁ〜。あまり関係なさそうだね」
「うん」
はずれっぽいな。まぁ一応候補の中に入れておこう。
「鶏肉を祀る神社か、それとも神社に柏の木があってそれが御神木なのか、はたまた適当なのか。……もう神社見に行ってみる?」
「そうしようか。神社に行くの久しぶりだな〜」
二人はカバンを持って、先生に机の上をそのままにしていいか許可をとりに行く。
少し話したあと、二人が手を合わせ丸を作り、許可をもらったことを伝える。仲良いなこの二人。
とりあえず消しカスとかは捨てて、本とかをまとめてから、すでに図書室を出ていた二人を追いかけた。




