18話「向き合う」
「うあっ、ひっぐ、うぇ」
涙がぽろぽろと落ちてきて地面を濡らす。
口を押さえても、漏れ出る嗚咽が余計惨めに感じる。
取り返しのつかないことをした。朝陽は、朝陽が死んだのは、全部、全部自分のせいだ。罪という言葉では片付けることのできない大きな過ち。
「……何度言ってもお前は罪を背負い続ける。そうだろう?」
ショウが冷めた声で言う。
そんな声とは裏腹に、海音に近づきそのまま抱きしめた。
そっと優しく。
死神だからか触れた身体は冷たく、人間ではないことを肌で感じる。
でもなんだか少し暖かかった。
ショウの腕の中で泣き続ける海音。
そんな海音の頭を優しく撫でながら言葉を紡ぐ。
「あいつは……あいつらは海音に罪を背負ってほしくないと言った。でもそんな言葉で罪の意識は無くならない。だから…罪を負った者にはそれ相応の罰を受けてもらう。それで、罪の意識を完全に無くせとは言わない。ただ、少しでも気持ちが軽くなってほしい。……海音は、どうしたいか?」
「……………………」
朝陽を殺した罰。
一つの命を奪ったなら、一つの命を捧げるまでだ。
死ぬ以外罪を償う方法はない。
「だから、お前が宮野朝陽を殺したわけじゃない。……確かに捉え方によってはそうだが、直接手を下したわけでもなく、誰かに命令したわけでもない。そうだろ」
ショウの言っている事は正しい。でも、やっぱり…。
「……お前は死ぬ理由がほしいだけだ。弟がいなくなったから死ぬ。自分のせいで弟が死んだから死ぬ。もしそれで本当に死んだ時…お前の弟はどう思うだろうな」
「っ…」
止まりかけていた涙が、また流れ始める。
もうとっくに限界を迎えていた。手術が終わってから感情の落差が激しすぎて、心も体も疲れ切っていた。
ショウは海音を自分の腕から離し、面と向かって言った。
「……こんなことになってしまって本当にすまない。でも、これもあいつらの望みなんだ。罰を、受けるか?」
再度ショウからきかれる。
でも、ほとんど答えは決まっているようなもの。
罰がどんなものだったとしても。
「うん。ちゃんと罰を受ける。だから、朝陽のことよろしくね」
ショウの目を見て真剣に答える。
今までの罪と醜い自分に向き合う覚悟で。
ショウは目を見張り、少し驚いたような表情をした。
その後見たこともない優しい表情になった。
「……交渉成立」
ショウはそう言って手を差し出す。
海音はその手を強く握った。




