16話「俺が、殺した」
「ストップ」
「!」
病院の屋上で誰かに声をかけられる。
「だ、誰?」
宙に浮かんでいる金髪の青年。
「おれはショウ。お前の弟の命を奪った死神の先輩」
「え?死神?」
「そうだ」
そう言いながらショウは地に足をつける。
訳がわからない。
弟、朝陽の命を奪った……。
「っつ!」
叫びながらその死神に殴りかかる。
「うわっ!」
しかしショウの体は透け、勢いのまま地面に倒れる。
「いった…」
「これで信じるか。おれが死神だって」
「…………」
こくりと頷いた。
「………はぁ、そんな睨むな。おれは真実を伝えにきただけ。…このことを知らないと今後大変なことになる、だから自殺はするな」
「え……」
手がぴくりと動いた。
……てっきりお迎えが来たのかと思った。
今から死のうとしていたから。
「……真実って何?」
「そのまえにあまり人目がつかない場所のほうがいい。移動するぞ」
死神がそう言った瞬間パッと場所が変わった。
「え!?」
しゅ、瞬間移動!?
「あれ、ここ……」
あの日行こうとした丘。
もちろんあの後行ってないから、来たのは何年ぶりかわからない。
「お前の弟もここで死神と話した。そして契約を交わした。宮野朝陽の命を代償に、宮野海音の命を助けると。契約通り宮野朝陽は死んだ」
「え………?」
朝陽の命を代償に海音の命を助けた……。
「俺が……朝陽の……」
「あぁ。お前は宮野朝陽の命を奪い、生きているということだ。でも、それは宮野朝陽が勝手に決めた。お前が罪を背負う必要はない」
「でも、俺が……朝陽を、殺した……」
「殺していない」
「ごめんなさいごめんなさい」
「話を聞け。嘘ばかりだ、この契約は。宮野朝陽の代償は命じゃない。結果論で言えば変わりはないが、正確には命ではなく寿命だ」
「……寿命?」
どっちにしろ同じ意味じゃないか。
「宮野朝陽は嘘をつかれた。この契約の本当の内容は『宮野朝陽と宮野海音の寿命を交換する』。本来宮野海音が死ぬ時に宮野朝陽が死んだ。これが意味することは何かわかるか」
「……俺は、病気じゃなくて事故で死ぬ予定だったってこと?」
「それもそうだが、今お前は朝陽の寿命を貰って生きている。そして、誰しも死ぬ時は決まっている。お前は……"本来宮野朝陽が死ぬ時でないと死ねない"。何度自殺をしようともただ重症で運ばれるだけ。命に関わることもない。結局死ぬ時は変わらない。今回みたいなことがない限り」




