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死神さん  作者: もか
第1章「双子のはなし」
15/30

15話「大好き」

「あそこ行きたい!あそこ!」

「あそこってどこだよ?」

病院帰り、久しぶりに朝陽と小さい頃に行った山に行きたくて朝陽に言った。

「ほら、あの山みたいなとこ」

「あぁ、いいよ。一緒に行こうか」

お母さんとお父さんに許可をもらい、朝陽と二人で丘に向かうことにした。

「お父さんたち着いてこなかったね」

「それだけ俺が信用されているってことだよ」

「そっかぁ。お見舞い一番来てくれたの朝陽だもん」

外の景色が数年ぶりで、いまだに実感が湧かない。

あと数週間様子を見て、特に何事もなかったら完治。

本当に何もないことを祈りながら、なんとなく大丈夫だろうと慢心している気持ちもある。

でもお医者さんも手術が成功すれば完治する確率は100%に近い、と話していた。

だから、大丈夫なはず。

「どうしたの、海音?」

「あ、ううん。なんでもない」

少し朝陽とどういう感じで話せばいいか分からなくなった。

朝陽は海音を見てすごく嬉しそうに話す。

その笑顔が嬉しくて手術を受けてよかったと改めて感じる。

生きていてよかった。

自分でもわかる。入院していた頃とは別人かと思うほど変わった。

あの時、必死に嫌だと言う朝陽を見て自分を殺したくなった。

なんであんなこと言っちゃったんだろうって。

でも、朝陽が喜んでいるならそれでいい。

そう思いながら横断歩道で信号が変わるのを待っていた。

「海音」

「何?」

「大好き」

「急にどうしたの?しかもこんな街中で」

「海音は?」

「……俺も大好きだよ!」

朝陽に向かってそう言った瞬間、

「危ないっ!」

「え?」

少し息がしづらいと思ったら、すぐに朝陽に思いっきり腕を引っ張られる。

そして朝陽は海音と入れ替わるように道路に倒れた。

ドン。

朝陽はそのまま轢かれた。

「え、あ………」

ざわつき始める人たち、次々と止まる車。

「朝陽?朝陽!」

道路の方へ飛び出して朝陽が倒れている場所へ向かう。

「朝陽、朝陽!」

「あ、まね?」

うっすらと目を開け海音を見つめる朝陽。

「よか、った。海音、が、生きてて」

血だらけの体。飛ばされた衝撃か後頭部が陥没していて、頭を支えようとしても上手く支えられない。

「まって!朝陽、朝陽!」

朝陽のまわりに黒いモヤのようなものがかかる。

そして圧のようなものを感じる。

でも、ただ怖いだけじゃない気がする。

「これ、からは、ちゃんと、生きるんだよ」

「やく、そく」

そう言って朝陽は意識を失った。

かくんと傾く頭。どこを触っても血がつく傷だらけの体。

もう何も分からなくなった。


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