13話「約束」
退院して家族全員で過ごす家。
いつもとは全然違う。
「わーーーーーーーー」
久しぶりの部屋で大はしゃぎする海音。
「朝陽、俺治ったよ!」
「うん」
「家族みんなで住んで、学校に通って、どこか出かけたりして。嬉しいな。これからは朝陽とずっと一緒にいられるよ!」
「うん。そうだね」
こんなに笑顔な海音はいつぶりだろう。
まだ病気が判明してない時以来だ。
「朝陽、どうしたの?」
「え………?」
「泣いてんじゃん。こっちおいで」
ベッドからスッと降りて立ち上がる。
その動作だけでも前までは時間がかかっていたのに。
目の前で手を広げる海音。
感情が赴くままに、海音の腕に飛び込んだ。
そんな朝陽を海音は優しく抱きしめ頭を撫でた。
「よしよし。そんなに俺が完治したのが嬉しかったの?」
何も返す事ができない。
本当にぐちゃぐちゃすぎて自分でもどうすればいいかわからない。
この感情の行き場がどこにあるのか。
「朝陽、大丈夫だよ。ずっとそばにいるから。朝陽は俺のこと見守ってくれるでしょ?だから俺も朝陽のこと見守り続けるから。安心して、勝手にどこか行ったりしないよ。もちろん行きたいところはたくさんあるけど、朝陽と一緒に行きたいから。約束ね」
「…………」
こんな約束かわしちゃダメだ。
海音をがっかりさせてしまう。約束を、破ってしまう。
でも、体は自然と動いてて小指を海音の方へ出していた。
海音はぎゅっとその指と自分の小指を絡ませて歌う。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のます、指切った!」
パッと海音と手が離れる。
あーあ、約束しちゃった。
いつからこんなに捻くれた性格になったんだろう。
「一応完治したわけじゃないんでしょ」
「まぁそうだね。様子見の入院期間も終わったし、通院して何事もなかったら完治だって。でも、目を覚ませば急変することはあまりないって」
「海音はそのあまりないに当てはまりそうだから心配だな」
「ひどい朝陽。せっかく目を覚ましたのに」
「冗談だって。当てはまれたら困るよ」
だらんと落としていた両腕を海音の体に巻き付ける。




