12話「俺がいなくても」
海音は数日間目を覚まさなかった。
そして朝陽は海音の目が覚めるまでは生きていたいと強く願っていたからか、いまだ生きている。
海音が目を覚ます確率は五分五分で、海音の生命力の強さにかかっているそう。
朝陽が何もしなかったら海音は生命力が足りずに、死んでいたんだ。
本当に、何もかも遅かったんだ。
もう少し早くアラタと出会っていれば、二人で楽しく生きられていたかもしれない。一緒に学校に行って、友達と遊んだり勉強したり、絶対に楽しい毎日が過ごせていた。
それは、望んでいたことで。
きっと、海音も望んでいたことだ。
だって当たり前だから。
海音の中で朝陽は元気で普通の生活を送っている双子の弟。
海音が普通の生活を送れる時には朝陽がいるのは当たり前。
そう思っていることぐらい考えればわかる。
でも……海音に生きてほしいから。
自分がいなくても幸せを感じてほしいから。
そんな綺麗事を並べて、心の中でひたすら言い訳をする。
でもアラタは死神。死期が近くなった人の前に現れる。
そのことを考えるとアラタと早く出会えてたら、なんて願いは届かない。
もしかしたら命を落とすのも必然だったかもしれない。
死神が見える弟は死と隣り合わせの兄を持つ。
そして二人は大の仲良し。
その状況で、弟がすることは一つしかない。
「はは」
乾いた声が響く。
なんだ、全部最初から決まっていたんじゃないか。




