表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神さん  作者: もか
第1章「双子のはなし」
10/31

10話「取引」

「海音は、これからも生きていける?」

また丘でアラタと話す。

「幸せだろ?あいつは」

「え?」

思わぬ返事がくる。そもそも質問の答えに合っていないけど。

「お前は俺が海音の余命宣言をしてから、海音との思い出をたくさん作った。それは海音も同じだろ。死ぬ前に楽しい思いができて海音は幸せな気持ちで命を落とす。これ以上いいことはある?」

「……ない」

海音の死は決定づけられているもので変えることはできない。

でも海音が死ぬまでの日々は変えられる。

だから、死のタイムリミットまで海音に幸せな日々を送らせろ。

それがアラタの言いたかったことなのだろう。

「……わかったみたいだな」

ふっ、とアラタが笑う。

「じゃあ、約束通りに」

アラタが地に足をつけ、ぐいっと顔を近づけた。

「………別にいい」

「あ、そう」

本当は喉から手が出るほど欲しい。

海音が生き延びる方法を。

でも、そんな悪あがきをしていいのかとも思う。

海音が生きるということは、この世界の未来を変えること。

それを簡単に実現してもいいだろうか。

運良く死神が見えるだけで大切な人の運命を変えるなんて、大切な人を失った人にとって憎いと感じる存在だろう。

でも、海音が生きる道を……知りたい。

「……教えてやるよ。知りたいだろ本当は」

「……知りたいです」

正直に答えた。なんとなくアラタに思考を読まれている気がするから。

「……素直なやつだな。海音が生きるためにすることは簡単だ」

ごくりと唾を飲み込む。

「……俺と取引すればいい。死神が見えるお前がな」

「何を……?」

「一人の命を救うということはそれ同等の代償が必要」

「代償?」

「あぁ。代償は………の前に、お前はこの取引をしようと思っているのか?」

アラタが問いかける。

確かにそうだ。方法だけ知ろうとしてどうするかは決めていない。

でも、ほとんど答えは決まっているようなもの。

代償がどんなものだったとしても。

「うん。取引する前提で聞いている」

「そうか。代償は……」

アラタが言葉を発する。

想定内の代償だった。

大丈夫だ。あの数分で自分はその覚悟ができていた。

「うん。ちゃんと代償を払う。だから、海音を救って」

アラタの目を見て真剣に答える。

今までで一番の覚悟と勇気を持って。

アラタは諦めたように視線を逸らす。あまり見たことない表情だ。

その後いつものむすっとした表情に変わった。

「……交渉成立」

アラタはそう言って手を差し出す。

朝陽はその手を強く握った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ