4.冒険と言ったら仲間でしょ
俺がギルドを後にしようと歩き出すと、一組の冒険者パーティーが道を塞いでいた。
そのパーティーリーダーらしき逞しい大男が、ゆっくりと俺に近付いて来る。
「いやぁ、冒険者に成りたてでいきなりCランクとは、期待の新星ですなぁ。」
「な、何ですか急に。」
「ハッハッハ、そう警戒せずに。私達はあなたを勧誘しに来たんですよ。どうです?我がパーティー、"土竜の唄"に入りませんか?」
どうやらパーティー勧誘だったようだ。
でもパーティーメンバーというのは、自分で集めるのも醍醐味の一つだ。
ここは断っておこう。
「いえ、私は結構です。」
「またまた、そう言わずに。好待遇で迎えますから。」
「いや、ホントにだいじょ…」
「いえいえ、好きな装備も買ってあげますよぉ?」
男はグッと顔を近づけ、しつこく迫ってくる。
これはなかなか手強そうだ。
「仲間は自分で集めたくて…」
「そんな堅いこと言わずにぃ。」
俺が断り切れずに手こずっていると、突然俺の後方から声がした。
「やめなさいよ!嫌がってるでしょ!!」
振り向くと、そこには如何にも魔法使いの格好をした女の子が仁王立ちしていた。
歳は俺と同じくらいに見え、赤い長髪に瞳の色も赤色、全体的に強気な印象だ。
「何ですか?あなたもこの新人が欲しいのですか?あげませんよ、これは私達が見つけたモノです。」
(あげるって、お前らのモノじゃねぇし。)
「そういう事を言ってるんじゃないの!強引に勧誘なんて、男がする事じゃ無いって言ってるのよ!」
男の発言に、女の子は一歩も引かない。
それどころか、段々と女の子も近付いて来て、拳が飛び出しそうな距離になっていた。
俺は咄嗟に不味いと思い、女の子の手を引いて男を避け、一直線に大通りを町の方へと駆け抜ける。
「え、ちょっと…!」
女の子が戸惑った様子を見せるが、今はこの場を切り抜けるのが最優先だ。
「あ、待ってくださ〜い!」
男達も追いかけてくるが、俺は上手く人混みに紛れて、素早く横道に入り身を隠す。
「チッ、あのガキ共どこ行ったんだ!!」
しばらくして、男達が通り過ぎるのを確認してから俺は一息ついた。
「なんで逃げるのよ!これじゃ私達が負けたみたい
じゃない!」
「すみません、状況が不味いと思ったので仕方なく。」
「何よ、男らしく無いわね。心配要らないわ、私は強いんだから!」
「そうですか、それは頼もしいですね。」
一目見た時にも思ったが、やはりこの子は勝気でプライドが高そうだ。
冒険者的にも俺より先輩な訳だから、きっと戦闘にも慣れているはず。
アイツらがまた、いつ追ってくるかも分からない。
ここはこの子と一緒に行動した方が良さそうだ。
「そうだ、俺は冒険者を始めてまだ間も無く、右も左も知りません。良かったら俺に、冒険者のイロハを教えてくれませんか?」
「しょうがないわね。そこまで言うなら仲間になってあげるわ。」
「な、仲間?」
「そうよ、あんたに色々教えるなら、同じパーティーとしてクエストを受けた方が手っ取り早いわ。それに、あんたは私が守ってあげないと、また変なのに絡まれるかも知れないしね。」
確かに、俺もたくさん戦って早く経験を積んで強くなりたい。
やっぱり異世界に来たら、無双したくなるのが男の性だ。
この子は正義感も強いし、何より俺は近接系をやりたいから、魔法系が仲間に居るのはとても心強い。
こっちから願いたいくらいだ。
「確かに良いですね。それでは、よろしくお願いします。俺は、イサハヤ レオって言います。」
「私は、テトラ=アルトリドアよ。それと、その敬語はやめてよね。仲間に敬語を使うのはおかしいわ。」
流石に敬語はよそよそしかったか。
仲間になるんだもんな。
友達みたいな感覚ってことか。
「それもそうですね。じゃあテトラ、よろしく!」
「レオも足は引っ張らないでよね。」
異世界に来て、初めての仲間が出来た。




