宇宙人ぴょよょよょ〜ん そのさん
夜になると宇宙人になることがわかってきて数日。
たまに知らない番号から俺のスマホに電話がかかってくるようになった。
しかも、いつの間にかアドレス帳に登録までされている。
ある晩、その電話に出てみると。
『ぴ? ぴょよょよょ〜ん!?』
うん? この人も宇宙人なのか?
俺がぴょよょよょ〜んと返すと、さらにぴょよょよょ〜んと戻って来る。
しかもだいたいなにが言いたいのかわかってきて、これから公園で会う約束をした。
そうは言っても宇宙人。
念の為コスプレを意識してきちんと服を着込んだ。
夜はすっごく寒いからな。
宇宙人がダウンジャケットを着る、という最もシュールな絵面が完成したところで、公園へ急いだ。
話しているうちに、女性だということもわかり、興奮気味のおれは、わくんくしながら歩みを進める。
しばらくすると、公園が見えてきた。
と、えらく洒落込んだ宇宙人の彼女がブランコをこいでいた。
「ぴょよょよょ〜ん?」
「ぴょよょよょ〜ん!」
彼女が言うには、夜空を見上げていたら円盤があらわれて、そこから緑色の光線をあびてからこうなったのだとか。
しかもそのすぐあとに、俺と会って、助けを求めたものの言葉が通じず、腹が立ってデコピンをしたとか。
ならば、答えは簡単。お互いにデコピンをしてみたらどうだろう?
と、いうことになった。
ぴょよょよょ〜んしか喋れない俺たちの奇妙な会話はきちんと成立していたのである。
そして、いっせぇ〜のせ、ではなく。
「「ぴよ、ぴょよょよょ〜ん!!」」
でデコピンをすると。だんだん人間の姿に戻っていくではないかっ!!
やった。攻略したぞ。俺たちは、宇宙人に勝ったんだ!!
喜びをかくせないまま、お互い名乗り合い、居酒屋で飯を食いながら、お互いの無事を確認して何回も乾杯した。
それから数日。おれたちは結婚することになった。
つづく




