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宇宙人ぴょよょよょ〜ん そのに

 今夜のライブは大満足!!


 推しが激しく観客を煽ってくれたおかげで、いい演奏に出会えた。


 目を閉じれば、あの瞬間の奇跡が浮かんでくるみたいだ。


 コンビニでビールを買ったあたしは、公園のブランコに腰掛け、星のない夜空を見上げた。


 うん、今日は本当にいい日だった。


 しばらくすると、夜空がチカチカと明滅しているような気がしてきた。


 もう酔ってしまったのかしら?


 だけど、たかがビール一本で酔えるようなあたしではない。


 好戦的に視線を夜空に向けたまま、そこから目を離さずにいると。


 映画とかによく出てくるような銀色の円盤が明滅しているのだった。


「もしかして、UFO(ユーフォー)?」


 それにしては小さいような気がする。


 ここにいたらまずい、よね? さすがに。でも、気になって動けずにいる。


 すると、上空の円盤から緑色の光線があらわれ、あたしを包み込んでしまった。


「ぴょよょよょ〜ん? ぴ?」


 なに言ってるの? あたし。


 ぴょよょよょ〜んってなに?


 それどころじゃない。自分の体が小さく縮んでゆく感じがする。


 光線がやむ頃、あたしの身体はすっかり緑色に変色してしまっていた。


 手鏡で自分の顔を見ると、緑色の肌にアーモンド型の大きな瞳、申し訳程度の鼻が映っている。


「ぴょよょよょ〜ん!? ぴょよょよょ〜ん??」


 混乱したあたしは、居てもたってもいられずブランコから降りた。


 それから、前方に人影を認めた。


 人影は成人男性のようだ。


 たすけて、とあたしは言ったつもりだけれど、なにをどう言っても言葉がすべてぴょよょよょ〜んに変換されてしまう。


 やがて、男の人はあたしを見て怯えたようにビニール袋を差し出してきた。


 おい、そんなことより助けろ!!


「ぴょよょよょ〜ん!!」


 怒り狂ったあたしは、彼の額をデコピンしていた。


「ぴょよょよょ〜ん」


 すると、彼の姿がすっと消えた。


 夢?


 でもあたし、緑色の宇宙人のままだよ?


 どうしよう?


 ポシェットがスマホの振動を知らせる。


 もどかしい手付きでスマホを取り出すと、アドレス帳にまったく知らない男の名前が刻みつけられていた。


 とりあえずかけてみるけど、返事はない。


 まぁ、あせっても仕方ないし。


 部屋に戻ろう。


 夜でよかった。こんなを人に姿見られたら、警察に通報されるか、最悪生きたまま解剖されちゃうかもしれない。


 そう思うと一気に酔が覚めた。


 そして数日が過ぎると、宇宙人化は夜になるとあらわれることがわかってきた。


 まぁ、夜出歩かなければいいだけなんだけど。


 あたし、いつまで宇宙人のままなんだろう?


     つづく

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