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なんとなく降ってきたので。
面白いかは…うーん…
多分面白くないですね。
3月10日。
俺は、自分のスマホを見ていた。
見る前は、あんなにドキドキしていたのに。
そこに、自分の番号がないことを知って、落胆した。
――あぁ、落ちたのか。
ストン、とその事実だけが自分の胸に落ちてきた。
悔しさは、なかった。心のなかではわかりきっていた結果だったからだろうか。
俺は、第一志望の大学に合格できなかった。
―――――――――
「おはよー武彦!次の講義の課題って何かあったっけ?」
「はよー。んー、特にないと思うけど」
「だよな!さんきゅ!」
結局俺は、後期で合格した大学に通うことになった。
国立で、お金もかからない。ここに受かっていなかったら、親に多大なる迷惑をかけていただろう。
俺を拾ってくれたこの大学には感謝しかない。
学びたかったことは十分に学べない学科だけど、将来のことを考えたらこの学科で学んで損はないし。
地元じゃ名の知れた大学だし、就職にも困ることはないだろうな。
うん、安泰だろうな。
うん…
…だけど、本当は、もう一年だけ、あの大学を目指したかった。
心の何処かで、この大学じゃ嫌だと叫んでいた。
恩知らずだ。この座を欲していた人が聞いたら俺は殴られるだけじゃすまないだろう。
俺は、クズみたいな人間だ。
やめようと思ってもスマホやパソコンをやめられない。
少しできたことに対して満足し、以降行動を怠るようなダメ人間だ。
努力ができないんだ。なにかにつけて言い訳をする。
そんなクソみたいな俺が唯一寝ても覚めても思うこと。
あの大学に、もう一度。
あの大学の、あの学部に憧れた。
あそこに入って、学びたいことがあった。
将来のためとか、お金のためとかじゃない。
俺の欲が、求めたものがあった。
浪人をしよう。
そう、決意した。
はっきり言って、この話はほとんどの人にとって面白くもなんともないだろう。
これは、俺の物語だ。
なんの飾り気のない、どうしようもない男の、物語だ。