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更新遅くなってしまい申し訳ありません。
8話目を書き足していますので、8話からお読みいただけると嬉しいです。
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ああ、アスランかわいいわ…
アスランを抱きしめながら頬が緩むのを止められない。まったくこのふくふくのほっぺの愛しさと言ったらもう…!そしてこのニギニギしている手。なあにこれは。かあわいい。
初めて授乳をした日から3日がたった。今日もわたしはメリーの部屋で授乳をしている。
授乳中のアスランの可愛さと言ったらないわ。お、そろそろお腹いっぱいね…ゲップを出させて…
授乳が終わったわたしは服を直して、アスランを胸に抱いたままついたてからシャナとメリーの方へ移動して椅子に座る。
さて、今日はただアスランに会いに来ただけではないのよ。
アスランを愛しく思う気持ちが日に日に大きくなっていくわたしは、もっとアスランと一緒にいる時間を増やしたい。そのために今日はシャナとメリーに新しいことを提案するのよ。そう、
「わたしとアスラン、同じ部屋で生活しようと思うの」
これよ。
わたしとアスランのワクワクラブラブ同室生活よ!
……もちろん、この部分は口には出さなかったわ。
そして、どう思う?と二人を見る。
この3日間、二人から一般的な家庭での子育てというものをよく教えてもらったわ。
基本的に生まれて1ヶ月くらいの母子はずっと一緒にいることが多いらしい。授乳、寝かしつけ、着替えなんかの基本的なお世話の他にも、抱っこしてあやして、「いないいないばあ」をしたり、子守唄を歌ったりなんかしたのもとても良い時間だったと二人は言っていた。そして、その時間は思い返せば一瞬だったとも……
それを聞いてわたしが思ったことは、もちろん、
やってみたい!
だった。
「いないいないばあ」とか「子守唄を歌う」なんて、やりたいに決まってる!
それをして笑ったり眠ったりするアスランを見逃したくない…!すぐそば、リアルタイムでこの目に焼き付けなければならないわ!
そのために、部屋は同じじゃなくちゃいけない。
この大きな城の3部屋隣なんて遠すぎる。この出産直後の体はとても疲れやすくて、その移動に体力を使うなんてもったいないわ。
それにわたしの王妃部屋はとても広くてベビーベッドを置くのもなんの問題もない。むしろベビーベッドくらい置いて有効活用しなければ損よ!
そう、だから、わたしとアスランは同じ部屋で生活するべきなのよ!
と、わたしは強く思って提案したのだけれど、シャナとメリーは曖昧な…というか、賛成しているとは思えない顔で目配せをしあっている。
何よ、
「言いたいことがあるなら、遠慮せずに言って頂戴」
わたしが座ったまま立っている二人を見上げると、
「差し出がましいようですが、」
とシャナが口を開いた。
「ルイチー様、アスラン様は王太子であられます。王太子というのは今後この国の王となるお方。幼い頃からたくさんのことを学び知識を深めつつ、肉体的にも強く逞しくなる教育が施されるでしょう。そして、全てのものに平等で優しく誠実なお心を育まなければなりません。そこには、家族という甘えは許されない。家族といえど、平等で、ある意味客観的な視点が必要となります。……ですので、普通の家族では当たり前の距離感も良しとはされておらず、…王妃と王太子が同室になった前例はございません。」
シャナは一息に言った。同室になった前例がないということは、なんだか言いにくそうに。