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おぎゃーおぎゃー!


そんな産声をあげて産まれてきたのは、悪役令嬢を断罪し国家を転覆の危機に陥れ、最後には断罪した令嬢とその夫に断罪し返されるバカ王子でした…




バリア王国に待望の王子が誕生した。

優秀な王であるクルスと美しい(に加えてクルスに特大依存執着しているメンヘラ)王妃ルイチー。その二人の間に可愛らしい王子アスランが誕生したのは三日前のこと。

まだ街は誕生お祝いモードが続いており、城の中までその賑やかさが伝わってくるようだ。



もちろん城の中もお祝いムードが漂っているけれど……



わたしは、そんな悠長に喜んでいる場合ではないのよ……!!!



出産の痛みはまだ消えていない。

どこにどう力が入ったのか、アスランがでてきた場所はもちろんのこと、全く関係のなさそうな腕や首まで体の至るところが痛む。

そして、頭も…


無我夢中だった出産。

痛みで気が遠くなりそうだったとき、走馬灯のようにいろいろなことが頭を駆け巡った。

わたしの小さい頃のこと、クルスとの出会い、クルスとの食事、クルスとのお出かけ、クルスとの……

まあ大半はクルスのことだった。

周りからちょっと引かれるくらいわたしはクルスを愛している。執着している、一方的だと言われてしまうこともあるけれどそんなの全くわたしたちのことを知らないやつらの言い草よ。


……と思っていたけれどそれもあながち間違いじゃなかったのかもしれないわ。

とにかくわたしは幼い頃のクルスを存分に見られて大満足。



問題はそのあと。



急に場面が切り替わったと思ったら、おそらく大きくなったアスランが綺麗な御令嬢に


「おまえを断罪する!!」


と宣言していたのよ!


そしてその隣には可愛らしい御令嬢。

どうやら綺麗なご令嬢と婚約をしていたけれど、可愛らしい御令嬢が何か悪どい方法を使ってアスランを騙して婚約を破棄させてしまったようで…。


①すっかり騙されたアスランはそのまま可愛らしい御令嬢と結婚

②実はその御令嬢は実家ぐるみで国家転覆を図っていた

③それに気づいた元婚約者の御令嬢とその夫にアスラン夫婦は断罪される


あーん!箇条書きにすると簡単にまとまってしまうわ!!

こんな簡単な事態ではないのに!


…あら、これじゃあわたしが出てこないって?それなのにどうしてこれを信じているかって?

……そうね、恥晒しになってしまうから言いたくなかったけれど、お伝えするわ。



わたしはアスランの母親役として登場した。アスランに甘すぎる『バカ』母親役として…


①現在すでにクルスから執着心の強さや自立心のなさにより心の距離を取られている

②アスランに対する甘すぎるバカ親加減に呆れられ、さらに心の距離が広がり、クルスは側妃ををとり側妃妊娠、出産

③その寂しさからさらにアスランに対して甘さが加速し、アスランがバカ王子となり断罪される

④側妃の第二王子が王位を継ぎ、わたしも都落ち



………なんてことなの!?!?!?!

ありえない、と言いたいところだけれど、正直あり得るわ…

思い当たる節もあるし…特に①!!!


でも!

こんな未来、認められないわ…!!!


なんとしてでも阻止してやる…!

アスランを立派な王子に育て上げて、クリスからの愛も絶対に手に入れて見せる!!!



良妻賢母になって息子の断罪と夫の浮気を阻止してやるんだからー!!!!




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