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終幕

 有楽町ガード下の居酒屋のカウンターの中で、店主は苦い顔で、天井近くに取り付けているテレビを眺めていた。そこには、ロシアのウクライナ軍事侵攻に関するニュースが流れている。店主の他に客は二人だけしかいなかった。

 2022年2月25日、ロシア軍がウクライナの軍事施設を攻撃した。そして今日にいたるまで、双方大量の死者を出す、血で血を洗う争いを続けている。

 ロシアもウクライナも、元々はソビエト連邦の一角だ。しかしそれより前の時代には、ウクライナのある地域はいくつもの国や民族の影響を受け、争いの絶えない場所だった。  

 ソビエト連邦が崩壊した冷戦後、クリミア戦争を経てようやく束の間の平穏を得たかに思われたが、冷戦時代に西側諸国により作られたNATO(北大西洋条約機構)の東ヨーロッパへの影響拡大を嫌ったプーチン大統領が侵攻を決断した。

 元々はロシアが圧勝し、すぐに終わる戦争だと思われた。しかし全世界から物資と義勇軍が集まり、ドローンと情報戦で分があったゼレンスキー大統領率いるウクライナ軍の猛反撃によりロシア軍も大きな打撃を受け、戦局は激化。多くの民間人も殺される、地獄の様相を呈している。マリウポリをはじめとするウクライナの複数の都市がロシアによって占拠され、同年6月10日にはウクライナ兵の死者が一万人を超えた。

 今日もどこかの町が攻撃を受け、子どもが殺されたとそのニュースが報じている。そして少しネットを調べれば、ロシア兵の被害状況も甚大なものであるとわかる。

 テレビの画面が国際ニュースから、国内の連続狙撃犯の続報に変わった。大阪でのビル工事現場爆発事件との関連性が指摘されている。

「やっぱり、どんな理由があったとしても人に銃口は向けちゃいけないよねぇ」

 店主がしみじみとそう言って、身体をカウンターの正面に向けた。

「ねえ、アラさん、タッキー?」

 店主は少し悲しそうに微笑んだ。




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