Second day 4 嫌な日は長く感じるのは何故だろう
「いっくぜ〜!」
「え?え!?」
「だありゃぁぁぁ!」
バチーン!と彼は急に僕の背中へ突っ込んできた。
「ぐぼはっ!?ゲホっごほッ、こ、これ、妨害と違くない!?」
「うるせー!」
ずぼーん!と今度は腹へと体当たり。
「ゴハッ!」
「てい!」
「ぐっ!」
「せい!」
「げはっ!」
ヒュン!ヒュン!ヒュン!と彼は僕の体の真上と真下を飛び交いその度背中と腹に体当たりをかました。
「どうだ!」
「いや、普通に、ボロボロ、ですけど、見たら、わかるだろ」
(あっ、ちょっとやり過ぎた、次からかすめていかねーと)
「よーし、次は俺の必殺技をみせてやろう」
「あのさ、主旨、変わってない?」
「いくぜー!」
彼はそういうと僕の周りを高速で飛び回り始めた。
(く、くっそ、速すぎる、まるであいつが何人もいるようだ。てか何者だよ)
「くらえ!『悲痛の叫び』!!!!!!!!!」
「何!?」
「ミーーンミンミンミンミーン!!!!!ミーンミンミンミンミンミンミーン!!!!!ミンミンミンミーン!!!!!」
と彼は恐るべき音量で鳴き始めた。
「うっ!何て音量だ!ぐぅぅ、耳が!頭が、割れそうだ!うぅぅぅ!」
「すきありだ、ぜ!!」
と、彼は矢のごとき速さで一直線に僕のもとに突っ込んできた。
(あ〜、ヤバイな、やられる、ああ、スピードには自信あったのに、ていうか何でこんなことに?これレースの勝負じゃなかったの?てかあいつホントに何者?あんな動きができるなんてただ者じゃないだろ、ていうかあいつ何がしたいんだよ、何のためにこんな事を?いやその前に何で僕がこんな目に?やっぱあんなやつに関わらなきゃよかったんだ。あ〜、なんかだんだん腹立ってきた。あんのやろ〜、ムカつく〜ってあれ?なんか時間がゆっくり動いてるよーな、なんかこの感覚前にもあったよーな気が、いつだったかな、確か、)
「おらぁぁぁぁぁぁあれ?消えた?なんだ?あいつ、どこに・・・まさか」
「そうだ、あの時だ」
「!?後ろ!?」
「人間に襲われた時と、同じだってあれ?君、どうしたの?何でそんな超嬉しそうな顔してるの?」
「〜〜〜〜っしゃあ!やっぱそうだ!やっぱりな、そうだと思ったんだ。うんうん。よし、いいぞ〜」
「な、なになに、何が?一体何?」
「いやいいんだ!とりあえず今日はあの建物の上で休もう!お前もうボロボロだしな!」
「君のせいでな」
「よ〜しよし、いいぞ〜、これでいける。できるぞ。やってやる」
その後彼はぶつぶつと独り言を言うだけだった。太陽はいつの間にか、赤く、紅く、輝いていた。