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(本編完結)また第二次世界大戦かよ  作者: 登録情報はありません
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ミッドウェー(5/7):空母赤城炎上

空母赤城は正史と同じ被害を受けます。違うのはダメコンにより延焼を許さず鎮火させた事です。火事の基本を知り、消火の化学を知る。副長以下防災担当もよく勉強していました。消火は海水、二酸化炭素、泡蛋白とその時代にあるものでやってもらいました。

空母赤城の艦橋からは空母加賀は左舷後方にあたる。

赤城艦橋から加賀が大爆発を起こしているのがはっきりと見えた。


「敵機直上!」

「艦爆急降下!」


左舷後方に気を取られている間に敵艦爆が迫っていた。

雷撃機の撃退に精一杯だった対空砲火器は水平なままだった。


三浦航海長「面蛇!面蛇!」

操舵員も我に返って舵を切った。


仲砲術長「射ち方はじめ!」

一斉に対空火器が動き始めた。


赤城には射撃統制レーダーがまだない。

各砲座は思い思いに各個に撃ち始めた。


そのため弾幕が密と疎になる部分がどうしても出てしまう。

その疎になる部分をかいくぐって、艦爆が襲いかかって来た。


爆弾投下!


スローモーションのように挙動はゆっくりとしている。

艦爆の投下爆弾は吸い込まれるように甲板に直撃した。


第一弾は中部リフト後方の中央部分に命中。

0.3秒の遅延信管を持った徹甲弾であった。


飛行甲板を貫き、上部格納庫をぶち抜き、下部格納庫で爆発した。

やはり燃料満載の九九艦爆と17本の魚雷、同数の爆弾が被害を受けた。


下部格納庫は密閉で投棄は不可能である。

火災の炎は天蓋を舐め始めた。


応急防禦行動(ダメージコントロール)班員は炭酸ガス消火と海水を放水開始。

さらに蛋白泡(たんぱくあわ)消火薬剤散布で対処した。


ここで誘爆を許すわけにはいかない。

この下はもう一層あるが、その下は機関室なのだ。


機関室では炭酸ガスや排水が流れ込んで大騒ぎになっていた。

機関長「あわてるな、酸素マスクで30分はもつ」


「消防放水の水はポンプで排水せよ」

「停電するまでは大丈夫だ」


最も恐ろしいのは電力喪失だ。

だが艦は停電していない、無事なのだ。


全艦一斉放水訓練で習った通りの順序だった。

放水した海水が最後に辿り着くのは艦底の機関室なのだ。


機関科員はポンプで排水し、マスクで酸素を補給し、時を待った。

45分後、連絡があった「下部格納庫鎮火!」


応急防禦行動(ダメージコントロール)班員「機関室は無事か?」

機関長「問題ありません、エンジンは最大戦速を出せます」


下部格納庫は膝まで海水と泡消火の液剤で水没した。

幸い、爆弾と魚雷は液面下となり、誘爆は起こらなかった。


九九艦爆は全部焼け落ちてしまった。

リフトの修理が終われば海上投棄するしかなかった。


南雲長官以下首脳陣は茫然自失となっていた。

<一体何が起こっているんだ?>


真珠湾でやられた復讐戦になる筈だった。

南雲「セイロン沖海戦で学んだのではなかったか……」


草鹿「いや、しかしこれでは……」

南雲司令も、草鹿参謀長も石になったかのように動かない。


防火指揮の鈴木副長は消火活動に走り回っていた。

鈴木「まさか全艦一斉放水訓練が役に立つとは!」


乗組員の多くが火災訓練をバカにして参加していなかった。

かくいう防火指揮の副長でさえ小馬鹿にしていた。


だがセイロン沖海戦で間一髪の所で艦爆の爆弾を逃れた赤城。

あわてて艦一斉消火訓練を行うようになったのである。


かつて訓練では水圧低下でホースから水が出ない場所があった。

出撃に際してポンプを直しておいたのだ。


ポンプは今や全開で、水圧は最大値で保たれていた。

火事の消火の基本は放射熱の低減が上げられる。


水霧放水で炎を縮小し、二酸化炭素や蛋白泡で消炎する。

水で燃焼界面を冷却し、再発火を妨害(窒息)する。


鈴木「消火の基本を学んどいて良かったよ」

「もし無学なら何も出来ずオロオロしていたろう」


消防要員はドライアイスの塊を次々と火元に投げ込んだ。

気化潜熱による高温気体の冷却で黒煙は白煙に変わった。


第二弾は左舷艦橋横の舷側への至近弾である。

噴き上げた海水と爆煙で、発着艦指揮所にいた源田参謀や後藤大尉はズブ濡れとなった。


第三弾は後部左舷甲板縁で爆発した。

この爆発で舵が固着して動かなくなる。


操舵長から「舵故障」の連絡が入る。

三浦航海長「……」


<おそらく爆圧で舵は物理的に破損している>

<だがそれを艦橋で声高に言うのは躊躇われる>


三浦航海長「操舵ユニットの制御用電磁弁の故障だろう」

「もう少し頑張ってみろ」


三浦航海長「舵機室の手動油圧ポンプバルブ開放」

「ハンドポンプで舵を0度に固着せよ」


「了解、舵機室の電源を落とします」

バツンッ!

スゴイ音がして舵機室は真っ暗になった。


巨大な舵機を真っ暗な舵機室で、手動操作して方向を0度に合わせる。

これを応急操舵訓練といい、船乗りなら必ず実習するコース訓練だ。


若手乗組員A「まさかここで役に立つとはな」

若手乗組員B「せーぇのお!」

若手乗組員C「動いた!もう少しだ!」


舵機室「成功です!舵を0度に固着しました」

三浦航海長「よくやった!」


「これでとりあえず真っ直ぐには進める」

その後、やはり故障は制御用電磁弁ではない事が判明した。


舵が空母後部左舷への至近弾爆圧で物理的に損傷していた。

最後に0度まで動いたのは幸運中の幸運だったのだ。


満身創痍の空母赤城。

中部リフト付近への着弾はリフトを使用不可にしてしまった。


前部と後部のリフトは使用可能である。

直ちに中部リフト孔はダメコンチームによって塞がれてしまった。


こうして赤城は被弾から1時間15分で立ち直った。

舵は壊れて4軸の推進器の出力可変で方向転換していた。


戦闘機、爆撃機、雷撃機が次々と発進した。

いよいよ日本軍の逆襲が始まる。

赤城命中弾は諸説有りますがここでは「一発目が艦橋舷側至近弾、二発目が中部エレベーター付近、三発目が後部甲板縁」という説を取っています。次回はミッドウェー(6/7):空母蒼龍炎上です

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