ミッドウェー(2/7):奇襲作戦破れる
第二次K作戦が行われます。これはハワイ偵察を二式大艇でおこなうモノで、補給地は中間地点のフレンチフリゲート環礁でした。
1942年05月30日。
伊121、伊123が第二次K作戦を開始する。
第二次K作戦とは何か?。
それはミッドウェー作戦の為のハワイ機動艦隊の動向を見定める偵察作戦である。
偵察作戦には長大な航続距離を有する二式大艇が選ばれた。
途中、中間地点のフレンチフリゲート環礁で給油する。
フレンチフリゲート環礁のペロウス島は無人島である。
伊121潜水艦が先行し、給油補給任務につく算段だった。
だが伊121が浮上し、環礁に近づいた時だった。
遠方にPBY哨戒機が飛行しているではないか!
「敵哨戒機、急速潜航!」
あわてて環礁から離れ、北西の深度の深い海に逃れた。
潜望鏡深度も危ない。
哨戒機の燃料切れの6時間を待って、潜望鏡深度まで浮上。
哨戒機は去ってすでにいなかった。
伊121は浮上し、「警戒厳重ニシテ給油不可能」を暗号打電した。
翌日さらにPBY哨戒機は3機に増え、哨戒を繰り返している。
ペロウス島には補給基地らしき影が見え、小型船舶が停泊している。
どうやら米軍もこの島を補給基地として使い、基点として哨戒任務に付いている。
藤森艦長はいぶかしく思った。
<おかしい、こんなはずではなかった>
<これでは給油が出来ず、ハワイ機動艦隊偵察は不可能だ>
なぜこんな何もない無人島を必死で守るのか?
まるで我々が補給基地にするのを見透かしたようだ。
支援艦伊123潜からも同様の暗号打電があった。
「敵警戒厳重ノタメ見込ナシ」
しかも敵潜水艦からの強力な暗号打電を傍受していた。
電波の強さから付近に敵潜水艦がいるのは間違いない。
敵潜水艦がなぜこんな無人島の周りを遊弋しているのか?
まるで給油潜水艦を待ち伏せしているかのようだった。
「第二次K作戦中止」
ハワイ機動部隊の事前偵察の作戦はおじゃんになった。
こうして日本海軍は米機動艦隊の動向把握に失敗した。
連合艦隊旗艦長門の参謀室は悩んでいた。
こんなはずではなかったからだ。
黒島首席参謀「おかしいぞ、これは」
三和作戦参謀「待ち伏せかもしれん」
宇垣参謀長「まさか暗号が破られているとか」
ミッドウェー島とハワイ島の通信を傍受する事は出来ない。
ミッドウェーとハワイ間には海底ケーブルがある。
堂々と有線通信を平文で行っている。
機動艦隊はハワイにいるのかいないのか。
彼らが談義を交わしていると通信参謀が部屋に駆け込んできた。
「ミッドウェー島攻略部隊が米軍哨戒機に発見されました!」
ミッドウェー島攻略部隊は陸軍の輸送部隊だ。
海上機動第1旅団と一木支隊による上陸部隊である。
海上機動第1旅団はマーシャル諸島以東を担当する日本版海兵隊。
上陸用舟艇母艦2隻と戦車揚陸艦4隻、他貨物船多数の大船団だ。
巡洋艦4隻による第七戦隊が護衛についている。
しかし濃霧により戦隊は船団の位置を見失っていた。
海軍の空母機動艦隊とは違う別働隊だった。
大船団発見!
ミッドウェー島では大騒ぎになっていた。
ミッドウェー島防備隊指揮官シマード大佐「とうとう来たか」
「だが上陸部隊だけで空母機動艦隊とは別のようだな」
映画監督ジョン・フォード「いや空母が2隻いるぞ」
シマード「な、なんだとう!」
フォード「フィルムには詳しいのだ、よく見ろ」
シマードは印画紙の上を16倍のデスクルーペでよく見た。
シマード「ううむ、油槽艦ではないのか?」
フォード「上陸部隊に油槽艦がいるか?」
シマード「ううむ、わからん」
「威力偵察を出して様子を伺わせよう」
ただちに待機していた陸軍B-17(空の要塞)16機が攻撃に向かう。
B-17機はこの上陸部隊輸送船団の上空に到達した。
すると見た事も無い戦闘機がB-17機に襲いかかってきた。
B-17機は爆弾を捨てて、這々の体で逃げ出していった。
輸送部隊に目立った被害は出ていない。
やはり油槽艦ではなく空母だったのだ。
その後、この船団は4機の哨戒艇の魚雷攻撃を受ける。
機銃掃射と魚雷1発命中で2隻が小破、戦死者11名が出た。
ミッドウェー島ではシマードが考えあぐねていた。
偵察の為に撮った写真には空母の艦影が写っている。
シマード「これが日本の南雲機動艦隊か?」
フォード「いや、違うだろう」
フォード「これは護衛空母だろう」
シマード「え、正規空母以外にもいるのか?」
フォード「映画は特撮でスケール感を出してミニチュアを使う」
「だからスケール感にはうるさいし詳しいのだ」
「これは正規空母の半分しかない」
「上陸部隊を守る護衛空母で正規空母とは違う」
シマード「なるほど、そう言う事か」
「任務部隊(TF)16,17にはそのように連絡する」
日本輸送船団を守る第7艦隊(栗田少将)はこの時「はぐれて」いた。
だがこれはまた別の話になる。
こちらは連合艦隊旗艦長門の参謀室。
空母機動艦隊の後方550kmの位置にあった。
上陸部隊空爆の報は参謀室を仰天させた。
真珠湾に続き、またしても奇襲を待ち伏せされたのだ。
黒島首席参謀「もう間違いない」
三和作戦参謀「我々は待ち伏せされている」
宇垣参謀長「直ちに空母艦隊に知らせるべきだ」
無線封鎖はいまだに継続中で、それを破ってまで警告するや否や?
結局、無線封鎖を優先し、警告はされなかった。
一方、空母飛龍の電信室では敵信傍受に躍起になっていた。
このところ米軍の暗号通信が活発になってきている。
意味は分からないが、哨戒機が空母と通信しているようだ。
哨戒機は哨戒線の末端まで行くと「敵影見ズ」と打電して引き返す。
敵影見ズはもちろん暗号で意味はわからなくしてある。
だが1号機から2号機、3号機と続けて同じ暗号打電をしているのだ。
そこまですれば、「無意味の意味」が浮かび上がる。
米機動部隊は日本の空母部隊を捜しているのだ。
電信強度が強く、索敵機は米空母部隊から出ているに違いない。
また通信内容から空母を呼び出しているのか、盛んに同じ符丁を使う。
毎回文字列は違うが、文面は同じなら分からなくても分かるのだ。
通信担当の森本二等兵曹はすぐさま暗号室に連絡を取った。
符丁は敵空母(CV)を差す暗号だった。
もはや間違いない、敵空母が哨戒機と連絡を取っている。
電信室は暗号室に詰めていた人員で一杯になった。
通信長「敵空母がハワイを出て、我々を捜している」
通信士「理由は不明だが、もう奇襲は出来ない」
暗号長「だが一体どこにいるのだ」
逆探は文面が短く、探査する前に消えてしまい、出来なかった。
この情報は直ちに富水通信長を経て艦橋に伝えられた。
艦橋では加来艦長を経て山口司令官に通報された。
山口司令官は旗艦赤城に敵空母警戒情報として伝達した。
すぐにこの情報は南雲司令部の知る所となった。
ここでは戦艦大和は戦艦長門に置き換わっています。長門も近代改装が行われて久しいですがさらに改装され連合艦隊旗艦として1941年10月08日戦艦陸奥から大将旗を引き継いでいます。次回はミッドウェー(3/7):邂逅と発進です




