表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(本編完結)また第二次世界大戦かよ  作者: 登録情報はありません
73/131

ニューギニア決戦(3/4)

いよいよ辻参謀の出番かと思いきや……。

あとは駆逐艦朝凪で辻参謀の到着を待つばかりである。


07月21日陸軍部隊がサラモアに上陸。

山砲80門砲弾2万発、野砲20門砲弾5千発はすでに登攀済みだった。


1門につき砲弾250発だが、激戦なら1日で消費してしまう。

後続の補給が途切れないようにしなければならなかった。


ラバウル(Rabaul)を25日午前06時に朝凪は出航と電信が来た。

おおよそ1日半でブナに付く予定だった。


だが日本の暗号はすべて米豪に解読されていた。

外交暗号も海軍D暗号書も解読されていた。


陸軍の暗号は最強で米軍は解読出来ていない。

そこでラバウルにコーストウォッチャーを常駐させた。


現地人監視員は荷担ぎや港湾労働者に化けていたのだ。

港に無造作に野積みされた物資は情報の宝庫だった。


荷物には行き先と運ぶ船の名前が明記されている。

朝凪の出航時間も目的地もすべて米豪軍には分かる運びである。


26日午後4時前後、朝凪との連絡途絶。

二見参謀長は双眼鏡で水平線に朝凪の姿を探した。


時間的にもそろそろ肉眼でも見えるはずである。

果たして水平線の彼方に朝凪が見えていた。


二見参謀長「まずい、米軍機だ!」

見ると双発爆撃機の攻撃を受けている。


ただちに日本陸軍機が迎撃に向かうと米軍機は逃げ散った。

朝凪はしたたかにやられてスクリューが1基停止していた。


舵を器用に操ってラバウルへ転進してゆく。

こんな調子ではブナ到着どころではない。


07月26日到着予定だった辻参謀は頭部貫通銃創で意識不明の重体。

駆逐艦朝凪でブナに向かっていた辻参謀はブナ近傍で被弾したのだ。


駆逐艦朝凪は老朽艦で高射機関銃4挺が中甲板に取り付けられているのみ。

対空兵器が弱いので米軍機にいいようにあしらわれたのだろう。


朝凪はそのままラバウルに引き返していった。

二見参謀長「頭に指が入るぐらいの穴が空いたそうだ」


助からんな……。

誰もがそう思った。


その時また電信が入った。

「ブナ沖ニオイテ、敵機ノ爆撃ヲウケ、上陸スルヲアタワズ 辻」


生きとるやんけ……。

誰もが驚愕した。


二見「辻参謀の作戦通りにやれば勝てます!」

二見は万が一の場合にと、辻から3つの袋を預かっていた。


それをその通りに実行して、辻不在に備えていた。

第17軍「前進せよ!」


機械化部隊は粛々と前進し始めた。

それを豪州兵斥候が見咎めた。


濁流に掛かる木橋は(はね)木橋構造である。

しかしそういう構造の木橋は豪州や英国にはなかったのだ。


豪州兵斥候「バカが木橋と共に崩れ落ちてしまえ」

英国にはコールブルックデール橋という鋳鉄製アーチ橋がある。


1779年のものでまだまだ現役だ。

だがこっちはムリだろ、ムリムリ、木製だぞ?


だがカ式機銃車(海軍貸与)も平気で渡橋しているではないか?

大変だ、すぐポートモレスビーに連絡しなければ!


原住民「ハイ、ソレマデヨ」

いつの間にか斥候は原住民に取り囲まれていた。


斥候「FWA(FuzzyWuzzyAngels)か?すぐ本部に連絡だ!」

<FWA原住民救護員:絶対助ける見捨てないで有名な救護班>


斥候「え?なんだオイ、ちょちょっと!」

豪州兵斥候はすぐに捕縛されて、日本軍のいるブナに連行された。


(マズ原住民ヲ味方ニ付ケヨ)辻参謀第1の袋の箴言(しんげん)である。


原住民はすでに交渉で抗英抗豪となっていた。

彼らは元々豪州森林監視員の任に就いていた。


あやしい外人の上陸をすぐさまポートモレスビーに電話する。

500もある部族の村落が電話網で繋がっている。


その監視網も電話網ももはや日本軍のモノだ。

豪州軍はその事にまだ気付いていない。


(諜知ヲ以テ敵ヲ欺ケ)辻参謀第2の袋の箴言(しんげん)である。


ここに来て第17軍に代わって第18軍に進撃はバトンタッチされた。

第17軍はソロモン諸島ガダルカナルへの転進を命じられる。


第17軍「今度は島か、のんびりできるな」

いや、ガ島はそういう所ではない。


第18軍は第6飛行師団を連れての参戦である。

布を被せた秘匿兵器を第18軍は携行していた。


さっそく軍交代を嗅ぎつけた米豪軍はP39を6機派遣した。

すでに日本軍はココダ・トレイルまで進撃していた。


ココダ・トレイルは一本道で米軍機からみれば射的のマトだ。

一本道に車列が順序よく並んでいるのは撃てば当たるからだ。


だが米軍パイロットは気付いていなかった。

実は自分たちも縦列編隊になっていた事を!


日本軍からしてみればそれは「空飛ぶ射的のマト」だった。

縦列になった米軍機は撃てば当たるからだ。


第18軍は秘匿兵器のカバーの布を取り去った。

「くらってくたばれ!!」


2cm Flakvierling38(4連装対空機関砲)自走装甲車3輛!

180発/分×4挺×3輛=2160/分の20mm弾が炸裂した。


(正ヲ以テ合イ、奇ヲ以テ勝ツ)辻参謀第3の袋の箴言(しんげん)である。


ドンドンドンドンッ!ドンドンドンドンッ!

バキンッボコンッポキグシャッ!


P39エアコブラは「カツオブシ」と呼ばれていた。

形状もそうだが、理由はその堅牢さにある。


その機体が粉々になり熱帯の密林に四散した。

あれだけ日本陸軍を悩ました主翼の6挺の12.7mm機銃。


とうとう1発も火を噴かずに終わった。


「こりゃ凄すぎるぞ、独軍対空機関砲!」

これも辻参謀が評価用に独国から取り寄せたモノを勝手に徴用した。


日本も独製ラ式二十粍高射機関砲(2cm Flak30)を研究していた。

二式多連二十粍高射機関砲という画期的システムも研究中だ。


それを「ほ~い」とばかりに取り上げた辻参謀。

研究者はいつもの(仮)命令にウンザリしていた。


大阪砲兵工廠は今ごろカンカンだろう。

「辻のヤツがまたやった!」


だが彼に言わせれば「兵器は使ってなんぼ」なのだ。

研究というモノは始まると、実は終わりがない。


研究者は何十年でも研究に没頭してしまう。

ココで切りよく研究を終わらせようとしない。


辻参謀は「じゃあこの辺で」と持って行ってしまった。

だが、これでいいのだ。


ココダを占拠した南海分遣隊はヘリポートを設置。

さっそくヘリが物資を満載して補給に努めた。


豪州兵斥候「ななんだありゃあ」

垂直離着陸機を見た事のない敵兵はビックリした。


すでにヘリコプターは1936年独国で飛行している。

現在の形にまとめたのは米国のシコルスキイであった。


末端の斥候兵が知らないのも無理はない。

これは米軍も日本軍も秘密兵器であった。


空中投下による補給も辻参謀がマレーで考案したものだ。

鹵獲C-47スカイトレインは1時間に7~8機が飛んできた。


貨物機は着陸できないので空投補給である。

相変わらず兵糧はとんでもない量が投下されていた。


目新しいのはアルミ蒸着袋だった。

PETフィルムの袋にアルミ真空蒸着を施したモノだ。


PETは1941年に、真空蒸着は1930年にすでに開発されている。

これを最初に結びつけたのは日本だった。


シーラーで溶着密閉された袋は長期の保存に耐える。

窒素ガス充填で酸化作用による食品の劣化も抑えられる。


つまり今でいう”レトルトパック”の誕生である。

牛丼、中華丼、親子丼、カレー、シチューなんでも御座れだ。


さらに真空冷却(フリーズドライ)は味噌汁まで可能にした。

1909年に発明され、医療現場で粉末化に使用されていた。


煮沸で水分を飛ばすと抗力が失われる物質は多い。

<ペニシリン、ビタミン群など>


これを日本人は魔改造の精神で食料に応用した。

お湯でもどせば具の入った熱い味噌汁が出来上がった。


こちらも物資として次々にパラシュート投下してきた。

おはぎどころか今川焼(御座候)まで空から降ってきた。


豪州軍トーマス・ブレーミー将軍はその様子に唖然とした。

「おかしいだろ、見敵必戦とか鎧袖一触の日本軍が補給重視?」


初めて日本軍と戦う豪州軍は米軍から日本軍の情報を得ていた。

「おびきよせると全員が白刃突撃で塹壕から飛び出して来る」


「そこを重機関銃の十字砲火で全滅させる」

「それが効率のいい日本人の処分方法だ」


ブレーミー「その通りだがちょっと違う」

「日本兵は空から降ってきた」


日本軍は燃料補給もまた変態的発明によった。

使い捨て無人貨物グライダーだ。


ベニヤ板で作られた簡易な構造で作られている。

滑空なので投下より衝撃が少なく静電気も出ない。


その燃料も置き場所に困っていた。

ニューギニアの問題点は地下水位にあった。


燃料は地下壕に、と思ったが地下水位が0.91mもあった。

つまり1mも掘れば地下水が浸みだしてくる。


そこでココナッツバンカーなるものを建設した。

ここに燃料も弾薬もしこたま詰め込んだ。


空投補給のドラム缶で不用のものに砂を詰める。

それを防弾盾にしてココナッツの丸太で覆ったものだ。


敵弾が命中しても砂詰めドラム缶は貫通しない。

豪州軍は迫撃砲でメチャクチャに撃ってくる。


外枠の木材の丸太は吹き飛び粉々になった。

だがココナッツの木が吹き飛んだだけでバンカー内は無事だ。


日本側も、敵と同じ迫撃砲で応戦した。

敵も同じ防弾盾で塹壕を防備しており、やはり効果は無い。


ブレーミー「こっちも落下傘部隊だ!」

豪州軍は落下傘部隊で兵員増強を図っていた。


日本側も、敵と同じ方法で増強した。

グライダー輸送に気付いた日本軍は野砲も空中補給した。


二式軽戦車のグライダー輸送も考えられた。

だが流石に山間部ではどうにもならなかった。


これは力対力の大量殺戮だった。

とんでもない命の削り合いである。


兵士が前進しようとすれば機関銃の十字砲火をお見舞いした。

集積地があれば、迫撃砲で砲弾を雨あられと降らせた。


制空権は拮抗していて、爆撃機は双方とも出せない。

出せば戦闘機があっという間に撃墜した。


守勢の豪州軍は、攻勢の日本軍にじりじりと後退した。

もともと豪州軍の作戦は後退戦術を採る事にあった。


焦土作戦で日本軍の補給が伸び切った所を撃滅する。

しかし一向に日本軍の補給は伸び切れないのだ。


米豪軍がそうなように、日本軍も後方支援は充実していた。

どちらも空投補給を行い、弾薬、糧食、薬品とも充分である。


消耗を狙った遅滞行動が、米豪軍部隊を逆に消耗させている。

遅滞戦術の妙は敵の進撃を一時停止させる事にあった。


その間に味方は防御陣を厚くする事が出来るハズなのだが。

次から次へと進撃する敵側に攻撃の層も厚くなっていく。


トーマス・ブレーミー将軍「おかしい、こんなバカな!」

遅滞作戦の部隊は徐々に戦力を削られつつあった。


とうとう日本軍歩兵第144部隊はイオリバイア(Ioribaiwa)まで来た。

米豪軍地上部隊は見境のないゲリラ武器に頼って攻勢に出た。


北アフリカ戦線で鳴らした豪州陸軍第9師団が買って出た。

アフリカ熱帯雨林で鍛えたジャングル戦闘のプロ集団だ。


ブレーミー「頼んだぞ、マーズヘッド」

マーズヘッド「お任せ下さい、仕掛け爆弾で木っ端微塵です」


それはワイヤーを使った仕掛け爆弾だ。

(booby traps and trip wires)というヤツである。


目に見えないほど細いワイヤを熱帯雨林に忍ばせておく。

足がワイヤを引っ掛けると仕掛け爆弾がドカンといくヤツだ。


こんなものを仕掛けたら、自分達も引っ掛かって前進できない。

だが敵味方とも動けないという意味では効果的だった。


だが日本軍はどんどん前進してきた。

トラップはすべて無効化されていた。


やはり日本人はジャングル戦の魔神なのか?

だが実は無効化は簡単なのだった。


1mぐらいの棒の先に紐を垂らして歩く。

ワイヤーがあれば紐が絡んですぐ分かる。


紐は軽いのでワイヤートラップは反応しない。

あとは爆弾部分を外せば、無効化出来るのだ。


1942年09月18日。


日本軍はとうとうオーナーズコーナーまで来た。

もうポートモレスビーは目の前である。

その時代にある全ての技術を掻き集めたのが戦争です。高分子技術は殆どが出そろっていました。ただそれを「すきま産業」として取り扱う発想の問題だったのです。このIF歴史では日本人にそのチャンスがあった設定になっています。使い捨て無人貨物グライダーは2019年頃からテストされていますが、特に技術的に戦中の技術でも製作不可能ではなかったので出しております。次回はニューギニア決戦(4/4)です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ