妹と仲間
相川遊斗、17歳
俺には大好きな妹が居る
相川莉奈
数年前、母さんが施設から引き取ってきた
見た目も良くて、健気で、優しい
とても、かわいい
「お兄ちゃん、居る?」
「…なんだよ」
「勉強教えて!」
「今言う必要あるか」
「帰ってくるのいっつも遅いじゃん」
「色々忙しいんだよ、母さんにでも教えてもらえ」
「えー、お母さん教えるの下手なんだもん」
「なら、諦めろ、つーか、お前教わらなくても大丈夫だろ、頭良いんだから」
「わかんない所があるから、お願い」
「…なら、レイを頼れ」
「巻き込まないでくれる?俺だって忙しいの知ってるでしょ?」
「お前ならなんとかなるだろ」
「ならない」
「んじゃ、帰れ」
「えー、む〜」
「むー、じゃねえ気持ち悪ぃ」
「ね、ねぇ、俺で良かったら教えようか?」
鼻の下伸ばした男子が話しかける
「え、良いんですか?ありがとうございます!ここなんですけど…」
「…え、」
「ははっ、それが教えられンのか?」
「……無理」
「そうですか…残念です…」
「分かったら帰りやがれ」
「うん、じゃあね、先帰ってるから!」
「おう、じゃあ、行くか」
「そうだな」
ーとある喫茶店
カランカラン
「こんちはー」
「遅刻よ!」
「悪ぃ悪ぃ、ちっと絡まれててよ」
「絡まれた、ですか?」
「遊斗の妹に」
「また?」
「ああ、まただ」
「その妹さんは遊斗さんのことが大好きなんですね」
「俺は大嫌いだ」
「ツンデレだね」
「皆そろそろ始めるよ」
「「「「はーい」」」」
「最近、鬼の出現が増えてる
人数不足なんだ、だから才能のありそうな人を見つけたら、スカウトしてきてくれないか?」
「「「「了解」」」」
「…近くに、鬼が居ます」
「行ってくる」
ー裏路地
「居た」
鬼が女の子を襲っていた
着ていた上着を脱ぐと、黒い煙が俺の周りを取り巻く
鬼に近づき、女の子を守るように女の子の前に出た
「逃げろ」
「!」
「悪いが俺は守りながら戦うほど余裕はない、逃げないなら死ぬぞ」
鬼を叩き切った
「痛てぇなぁ」
「チッ…超回復タイプか…ケイ!レイを!」
「お前…こっち側だろ?なんで人なんて守ってる、喰った方が良いだろ」
「人なんか喰うか」
腕や首を何度も切り落とすが、その度に生えてくる
「美味いぞ」
その時、鬼の首が落ちた
「…!回復しねえ!何故だ!何故だ!死にたくない!!」
「うるせえ、死ね」
「崩れるな!いやだ!!いやだ!!」
最後までそう叫びながら、灰になっていく
「もう、無理をしなくていいよ」
レイが優しく鬼に声を掛ける
「鬼に同情するな」
「戦いに影響はないから大丈夫」
「人を喰らうんだぞ」
「彼らは彼らで生きているだけだから、責める必要は無いよ」
「そうだな、確かにそうだろう、だからこそ、同情する必要なんてない
あいつらを殺さなければ俺たちは生きていけない
一々同情してたら身が持たねえぞ」
「大丈夫、こうするしか…ないんだよ」
「チッ」
「2人とも口論はそこまでにして」
いつの間にか後ろに来ていた隊長が言った
「「すみません」」
「…ねえ、そこの女の子、人を助けてくれないかな?」
「えっと…?」
その声は、あいつの声とそっくりで…嫌な予感がした
「ついてきてくれるかな?」
「誰よ、その女」
「はじめまして、相川莉奈と申します」
「才能があるみたいだから連れてきたんだ
君も、狩りをしてくれないかな?」
「さっき…やってたみたいな?」
「そうだね、お願いできないかな?」
「はい、やります!」
「よろしくね、莉奈」
「はい、よろしくお願いします!」
「髪を解いてみてくれるかな」
「?」
不思議そうにしながら髪を結ぶと、ピンク色の煙に包まれた
姿が変わり、背が少しでかくなり、胸もでかくなり、額に1本の角が生えた
莉奈の腰には刀がぶら下がっていた
「これは…お兄ちゃんと同じ…」
「俺の変身と大分見た目違うけどな」
「お兄ちゃんって…この女が噂の妹だって言うの?」
「ああ、まあな」
「お兄ちゃん、この人は?」
「仲間の麗音だ」
2人がバチバチと睨み合っている
「バチバチするのは後にしてね
戦闘力確認をするよ、ついて来て、リナちゃん」
レイと莉奈は、地下の訓練所へ行った