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問題と解決策

 7月のミーティングは小ホールで開かれるという。期末試験前だから、また精進するようにって演説があるのだろうか。私には友子部長という強い味方がいる。優しい友子部長は、期末試験前も勉強を教えてくれるという。主に、京香先輩にだろうが・・・。過去問を頂けるだけで心強い。 


 小ホールに到着すると、いつもより人が多い。クラス委員以外も集まっているようだ。


「雪吹ちゃん」

「友子部長、どうしてミーティングに?」

「今日は、生徒会とクラス委員、各部の部長が集まるのよ。文化祭についての説明会を兼ねてるから」


 なるほど、この人数に納得である。


「あとでね。雪吹ちゃん」


 友子部長は部長たちが集まる席へ行ってしまった。私と武士はクラス委員の席に着席する。


「武士、文化祭で剣道部は何かするの?」

「・・・練習試合」

「そうなんだ」


 話していると、副会長が登壇した。


「今日のミーティングは、文化祭について話します」


 話の要点をまとめると

 『出し物をする際は、エントリー表を期末試験後までに生徒会へ提出する』

 『クラス全員が集まらなくても有志で参加できる』

 『もちろん、クラス単位・部活動単位はOK』


「そして今年の変更点ですが、エントリーは5人以上集まった場合のみになります」


 ふむふむ5人以上か・・・え?5人以上?茶道部は4人しかいない。


「副会長!去年までは、人数なんて決められていなかったじゃないですか!」


 部長席から声が上がる。友子部長の声だ。


「生徒会の決定です。ああ、茶道部は去年から人数が減ってしまったんですね。部員以外に助っ人を頼んで、5人で参加することも可能ですよ」


 副会長・・・これ、友子部長への嫌がらせじゃない?そんなに一年生の時に1位を譲ったことがコンプレックスなのか!!全然クールなキャラじゃない!


「他に質問がなければ、各自エントリー表を取って解散してください。更に追加でエントリー表が欲しい場合は、生徒会室まで」


 副会長の話が終わると、私はすぐさま友子部長に駆け寄った。


「友子部長・・・」

「雪吹ちゃん・・・去年までは先輩が2人居て5人だったのよ。でも大丈夫、声をかければ手伝ってくれる人は居ると思うわ。」

「手伝ってくれる人・・・」


 茶道部の手伝いをそんな簡単に引き受けてくれる人はいるだろうか?難しそうだと断られることが多いのでは?


 その時私はハッと閃いた。


「部長、ちょっと待っててください」

「雪吹ちゃん?」


 私は武士に駆け寄った。


「武士!文化祭で茶道部の手伝いしてくれない!?練習試合の時間以外で!!」

「・・・」

「知ってるでしょ?茶道部4人しかいないんだ・・・だから」

「分かった」

「本当!?ありがとう!友子部長~!」


 武士を連れて、友子部長の元に舞い戻る。


「同じクラスのクラス委員の武士・・・柊君が剣道部の練習試合の時間以外なら手伝ってくれるそうです。柊君はウチで茶道を習ってますから、水屋仕事もOKです」

「本当!?」

「はい。ね、武士」

「・・・ああ」

「でも柊君。練習試合って忙しいんじゃない?」

「練習試合は1日目の午前中だけなんで・・・あとは空いてます」


 武士がこんなに長く話した!思わず感動してしまう。


「じゃあ、遠慮なく柊君、お願いして良いかしら?」

「はい」


 よし!茶道の経験値あり助っ人ゲット!!


「あの」


 振り返るとヒロインが立っていた。


「貴女は、仮入部に来てくれた・・・」

「桜井です。あの、私もお手伝いさせてください」

「え?」

「合唱部なので、発表の時だけ抜けますが、その時間以外はお手伝いできます!」 


 なんでヒロインが?こんなイベントは無かったハズ・・・。は、そうだ!武士とのイベントが無くなった代わりなのかもしれない。ゲームの強制力ってやつ。


「桜井さん・・・良いの?」

「はい!是非、お手伝いさせてください」

「ありがとう!部長、これで6人ですよ!」

「みんな、ありがとう。どうどうとエントリー表を取りに行けるわ」

「あ、私も行きます。クラスの分が必要なので」

「私も・・・」


 友子部長、ヒロインと私の三人で副会長の元へ向かう。話は聞こえていたようだ。苦虫を嚙み潰したような表情をしていた。ざまぁ見ろ!!


「では、期末試験の後に提出してください」

「分かりました」


 このまま期末試験で友子部長に負けてしまえ!!・・・その前に自分の勉強だけど。


 中間試験の前と同じく、友子部長が一年生の時のテストを貸してくれた。そして、やっぱり友子部長は京香先輩に付きっきりで勉強を教えることになったのだった。


 文化祭に関しては、ウチのクラスは有志でお化け屋敷をすることになった。私や武士は参加しない。意外と部活の出し物を優先する人が多かった。私は有志の代表にエントリー表を渡した。


 そして期末試験が始まった。今回は全く同じ問題は無かったが、やはり手応えを感じる事が出来た。


 そして結果発表。


 私は3位に後退した。中間試験で3位だった生徒に抜かれていた。武士は変わらず1位。ヒロインも4位だった。爽やか君は15位に後退していた。何があった攻略対象・・・。


 ついでに三年生の順位表も見に行くと、百合川副会長が1位、友子部長が2位、蓮見会長が3位と変わらなかった。「不動の三人だよね」とは順位表を見ていた三年生の言葉だ。京香先輩の面倒も見ながら、2位をキープする友子部長はすごい。


 そんな京香先輩は数学だけ赤点を取り、夏休みに補習になったそうだ。推しグッズに関しては、土下座ではなく、美しい『真』のお辞儀を家族の前で披露し、なんとか捨てられずにすんだらしい。 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い [気になる点] 茶道の話は説明もあっていいのですが、棗とか正絹とかフリガナほしいです。 全部よんでるからこそ 途中検索してひらがな読むのきついです(*´・ω・)
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