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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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少女のお願い

作者: 夜猫

私はいままでずっと不幸でしかなかった。私が生まれた日、産後の状態を悪くした母は死に、それに絶望した父は睡眠薬を飲んで自殺を図り、なんとか一命は取り留めたものの、後遺症のせいで脳に障害が残り、ろくに動けない一応生きているといったような人に成り下がった。

そんな事もあって産まれてすぐに母方の祖父母に引き取られたが、その祖父母も歳で認知症を患い、私のことがわからなくなってしまった。

母の弟であるおじさんは出会うたびに私のことを下卑た目で見てくるし、父の姉は重度のブラコンで父が死のうとしたのは、私が産まれたせいで母が死んだからだといって罵詈雑言を浴びせてくる。殴られた事もあった。

そんな不幸しかない人生を歩んできた私の性格がまともに成長するはずもなく、私は年に合わない鬱屈した見方をするようになった。私はそんな私の性格を自覚しているし、これじゃあ社会ではやっていけない事も分かってはいるけれど、今更直す気もさらさらない。

かといっても周囲がそれで許してくれるかと言ったらそんな筈もなく、私は中学校に入った頃からいじめられるようになった。性格に言えば、小学校の頃から嫌がらせは常にあったけれど、関わり合いにならないように遠巻きに眺めている人が多くていじめってほどでもなかったから、本格的にいじめを受けたのは中学校からだ。

そんないじめられ続けた中学校生活が終わっても高校に入ればまた始まるもので、(一応お金だけはあったから高校には行けた。行く必要があったかは別にして。)またいじめられ始めた。そんな時だった。

高校一年の十二月、その日の分のいじめが終わって家に帰った時だった。家の扉をあけて玄関に入ると、そいつはいた。真っ黒な体にボロボロの翼を持ったそいつは自分を悪魔だと言った。

そいつは私に願いをなんでも、いくらでも叶えてやると言った。私がなぜ願いを叶えてくれるのかと聞くと、悪魔は、産まれてから今まで何の幸福も感じなかった人間がどんな願いをするのか気になったのだと言った。

取り敢えず、私は中学校時代に私をいじめていた奴らが私にした事を三倍の量にして返してくれ願った。翌朝学校に行くと、中学の頃私をいじめていた奴らがほとんど学校に来ていなかった。その時、初めて私は心の底からの幸福を感じた。それから私は多くのことを望んだ。

私に生きたままのイモムシを食べさせた奴には口を開けた途端、口の中に虫が入ってくる呪いをかけた。

私を蹴ってきていた奴はご自慢の足に薬品をかけて筋肉までドロドロにしてあえて残した。

表面だけは嘘で良い人を取り繕っていた教師は一生嘘がつけないようにした。

おじさんには常に誰かに見られているような幻覚を、おばさんにはいつでも悪口が聞こえる幻聴をプレゼントした。

そうやって私は多くの人にお礼を告げてから最後の願いを悪魔にした。

「お願い、私を殺して。」




あれ、そういえばなんでわたし幸福を願わなかったんだろう?

読んでいただいてありがとうございます。

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