第五話 新たな仲間
「ん?」
そこには勇者募集中と書かれた看板があるギルドがあった。
「勇者募集中って」
勇者って募集するようなものだっけ?勇者といえば隠された才能が見つかってそれが勇者にふさわしいとかなんとかで見つかるものであって自分から立候補するとかどうなのだろうか。僕はそう思いつつギルドに入っていった。ギルドの中は食堂にクエスト発注所らしきカウンター、それから掲示板、ゲームでよく見る内容だ。ここで仲間の勧誘とかもできるみたいだ。依頼が貼ってある場所、仲間を募集するための紙が貼ってある場所と分かれていた。
「ねぇ、あなた!」
掲示板を見ていると誰かに声をかけられた。
「ん? 僕ですか?」
声をかけてきたのはロングの黒い髪、鮮やかな赤い瞳の少女。歳は僕と同じくらいだろうか。
「そう! あなたよ!」
「なんでしょう?」
「単刀直入に言うわ! わたしとパーティーを組んでほしいの!」
「はあ」
突然パーティを組めと言われ少し困惑した。
「わたしね、魔法使いなの。あなたの役にたてると思うの。だからねわたしを連れてって!」
なにそれ?RPGのセリフかな?
RPGだとここでYESかNOかの選択肢が出てくるところだ。
「ま、まあとりあえず自己紹介しようか僕は松田優輝だよ」
とりあえず自己紹介することにした。
「わたしはねマシュ・アーテっていうの! よろしくね!」
この少女はマシュ・アーテというらしい。見た目からしても魔法使いのようだが腰には短剣があるのでそれが少し気になる。魔法剣士とか近距離対応型の魔法使いとかならうれしいがその可能性はあまりないだろう。可能性とするならもしものときと護身用かなにかわけがあるのかだ。……考えすぎかもしれないが。
……よくよく考えればRPGでの魔法使いは魔法での遠距離攻撃のイメージが強く接近戦は全くできないので短剣を持っているのに違和感があったが現実的に近距離でもなんとかできるように対策は取っておくべきだ。そう考えると魔法使いでも短剣を持つのは妥当な判断だろう。
「そうですか。で、なぜ僕とパーティーを組みたいと?」
「あなたを見たときピーンときたの! あなたと組めばうまくいくって感じがするの!」
すごい適当。感覚だけでどこの馬の骨かもわからない男とパーティを組もうっていうのだから。もちろん仲間になってから僕が何かするなんてことは間違ってもない。
まあこの世界に詳しい人が仲間にいればけっこう楽になるからいいかな。
「まあ、僕もここのことを色々と知りたいのでいいですよ」
「やった! じゃあなにが聞きたい?なんでも聞いて!」
突然テンションがあがった。期待したような顔で質問を待っている。犬に例えるとご主人様の命令を尻尾を振って待っているかのような……。きっと気のせいだろう。
前の世界で言えばマシュはかなり美人の部類に入るだろう。実力のほどはわからないが見た目で言えばパーティーに勧誘されていてもおかしくはない。だが、なにか事情があるのかもしれないし余計なことは聞かずにひとまずこの世界のことを聞いた。情報屋からも色々聞いたが、この世界の常識とか街中のうわさとかは知らない。常識を聞くのは少し恥ずかしかったがこの世界に生きるためなので我慢した。
とりあえずこの世界のことを色々と聞いた。魔王の存在は知っていたがこの世界には魔王以上の脅威もあるようだ。詳しくは知らないらしいがそれぞれの場所で脅威となるものがあるようだ。それからこの世界にはスキルらしきものもあるようだ。スキルというより剣技とかそうゆうものだが。そうゆうのは珍しくないらしい。~流とかもあるらしくそういうものはよくある設定だ。僕もなにか剣技でも作ってみようかな?
その他は追々話すとしよう。
とりあえずマシュが仲間になった。
そのあと受付に行き冒険者登録とパーティ登録を同時に済ませた。僕が冒険者じゃなかったことには何も触れられなかった。
「よし、とりあえずクエストとか受けてみようか」
僕達は掲示板の依頼が貼ってある場所に向かった。
ゴブリンの討伐 800ゼル
魔石の採取 1200ゼル
幻の宝石 150000ゼル
などなど
これらを見るとやっぱり2次元だなぁって思う。
「ねぇねぇ!これなんかどう?」
マシュが選んだのは氷の大魔石の入手。
氷の大魔石はここら辺なら魔法の洞窟のアイスエレメントから手にはいると大体の情報は紙に書いてある。
難易度的にも低そうなので僕達はこのクエストを受けることにした。
魔法の洞窟はファティの町から東の方にあるらしい。魔法の洞窟はその名の通り魔法を使うモンスターが多い。ここなら色んな魔法をコピーできるのとマシュの実力を知れるので一石二鳥だ。金稼ぎもできるから一石三鳥かな?
とりあえず魔法の洞窟に向かうために町の外に出た。町の外には何体か魔物がいる。ゲームの常識だとここら辺の魔物は弱いのだろうが現実ではそういう常識は通用しないかもしれないし、無駄な戦闘は極力避けておきたいので無視した。本当はここで戦ってもいいがこの世界は現実、レベルなんてものも存在しないので無駄に戦う必要はないのである。無駄に戦ってもただ体力を消耗するだけだろう。
魔物とエンカウントしないように気を付けながらしばらく歩いていると魔法の洞窟についた