ミラクルスコープ
詩とも微妙に違うし、これはいったいどこに分類したらいいんだろう?
覗き込むスコープの向こう側には様々な人が映る。万華鏡でもないのに勝手に動く。
目まぐるしく動く彼等の動向を、面白くぼんやり眺める俺はいったいどんだけ暇人なんだろう。
でもそんな人間観察は、時たま奇跡を起こすことがある。
知らない景色、知らない人間。そんな目線がたまにカメラを捉える。そうなったら奇跡の始まりである。
そうして出会った瞳とスコープ。向こうの人は興味深げに覗き込んで来る。こっちも不思議と吸い寄せられるように見つめ返して。
手を伸ばされて。触れられないのに思わずこっちも手を伸ばしてしまった。まるでスコープからこっちに来てるんじゃないか、そう錯覚したから。
パシッ。
スコープの向こう側から伸ばされた、触れられないはずの手が、今 俺としっかり重なった。そんな気がした。だから俺はスコープ越しに笑いかける。
相手も笑っていた。一期一会の出会い。忘れるわけにはいかない、この奇跡を見るたびにそう思って、俺はメモを取る。
そしてそれは。文章となって躍り始める。スコープの先を代弁するように。語り掛けてくれる彼らの意志とシンクロするように手は動く。俺の奇跡は形のない形を得る。
俺はそうしてまたスコープの先に目を向ける。またの奇跡を見つめるために。
ちょっとした修正はしたものの、ほぼ降りて来たまんまを書きなぐったら、俺自身の執筆感覚の描写にかなり近い物になりました。
どうしてこうなった?