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ワルツ文具堂飄奇譚  作者: 実茂 譲
MUDABONE NOTEBOOK
31/52

墓参り

 緑深い市営墓地で仙太郎は汗だくになりながら、祖父と祖母の眠る墓を手入れした。雑草を全部抜き、玉砂利をきれいにならし、ぶっ倒れそうになったら、ポカリスエットを飲んで、また労働に励んだ。

 墓をきれいにして、水をかけ、花を新しいものに変えて、煙草をひと箱、お供えものに置くと、仙太郎はクーラーボックスからビールを一缶取り出して、ぐびぐび飲んだ。

「あー、このために生きてる」

 ビールはよく冷えていて、たまらなかった。

 仙太郎は、少しだけだからね、と前置きして、墓石にビールをかけた。

 二缶目のタブを起こしたとき、空から歌がきこえた。

 明るくて、浮き浮きした、楽しい歌だ。

 だが、何より、その歌はちょっとだけ温かかった。

 仙太郎は空を見上げた。

 海のように青い空を、☆のステッキを持ったペンギンが先頭に立ち、五線譜の音符や熱帯魚たちを連れて、遠い国へと旅立とうとしていた。


                MUDABONE NOTEBOOK〈了〉

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