表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者に惚れられた剣聖  作者: サイト
1/2

プロローグの前

新作の創作意欲は沸くのに、旧作の創作意欲が沸き切らないダメ作者がまた新作だしました

たぶん執筆はかなり遅いです、それでも良ければお付き合いください

日が出たばかりの薄暗い街中を駆け抜ける二つの人影があった

まだ年端もいかないであろう二人だがその足並みは大人顔負けの速さである

そのまま門を潜りぬけた二人は近場の林の中にある泉で止まるとストレッチを開始した


10歳前後であろう男女の服装は上等な布が使われており育ちのいい家の子であることがわかる

また、腰にさした70cm程の鉄製の直剣を見るに騎士の家系であろう

登り始めた太陽の光を反射するように輝く金と銀の髪は美しく、ルビーを思わせる深紅の瞳、幼くともわかる端整な顔立ち、成長すれば引く手数多であろう二人組は休憩をとることなく素振りを開始した


銀髪の少年はほぼ完成したであろう素振りを繰り返し、金髪の少女はその少年とほぼ、遜色なく隣で同じように繰り返す


辺りに二人の素振りの音だけが響くその場所でどれほど経ったであろうか

額の汗を袖で拭いながら少年が少女を振り返る

一歩近寄り声をかけようとしたところで二人に近づく異型が視界に飛び込んできた

既に剣を腰に収めてしまった少年は異型の攻撃までに間に合わないと見るやいまだ気付かず剣を振るっている少女の剣を掴み取ると少女もろとも強引に引き寄せ守るかのように抱え込む

そんな無防備な少年の背中に異型の爪が振るわれた

その爪は少年の右肩から左脇腹までを抉り取ると次で息の根を止めようと再度その手を振り上げるが、その隙に少年は相手を蹴り飛ばし距離を置く


少女を後ろ手に守りながら改めて対面したそれは魔物と呼ばれる生き物なはずである

熊の様な左手を持ちながらそれ以外は自分たちと遜色ないそれ

魔物だとは思うが人の特徴を持つそれに魔物では言い表せない不気味さを感じ取る


「せっかく剣聖を討ち取れるチャンスだったのに邪魔しないでくれるかしら」


そうして出方を窺っているとその異型はこちらを睨みながら忌々しそうにしながらもう片方の手も熊のそれに変貌させる


「魔物がしゃべった、、、」


「私をそんじゃそこらの下賤なのと一緒にしないでくれないかしら、私はベルベ、魔人ベルベよ、よく覚えておきなさい」


『魔人』それは魔王から力を注がれ魔物から進化したといわれる者の総称である

力にはピンからキリまであるらしいが、最弱であったとしても騎士団一隊を軽く蹂躙する力を秘めているという話である


「さぁ大人しく剣聖を渡しなさい、そうすればあなたの命までは取りわしないわ」


「なにを言っているんだ。剣聖は俺が引き継ぐんだ」


「剣の加護一つない小僧がなにをほざくか、剣を下さないなら諸共殺してやるわ」


そうして始まるのは魔人の一方的な蹂躙のはずであった

既に重傷を負った口先だけの馬鹿を容易く潰し、後ろで守られている幼い剣聖を捻り潰す

そのはずであったがそれは先の攻防を思えば結果が違うはずなのだ

現に振るった右腕は馬鹿の左手で振るった剣に撥ね退けられているのだから


「なにを言っている。『剣聖の加護』はおれが持っているんだ」


そうして振るわれた上段からの一振りは速く、防御する暇もなくそれの胸を深く切り裂く

堪らず距離をとるベルベだが、少年が離されることなく追随してくる

それに焦ったベルベは右手を振るい足止めしようとするが悪手である

自身の腕を身を低くして回避した彼はその腕に隠れるように喉へ向けて刺突を繰り出す

腕を振るった状態から見えない一撃をかわす術もなくそれは柴色の血を辺りにまき散らしながら息絶えた


「次期剣聖は、俺、だ」


だが背中に深手を負った状況でそれだけ派手に動いて無事で済むはずもなく彼もまた崩れるようにその場に倒れ込んだ

薄れる意識の中悲痛に聞こえる叫び声がやけに耳に響いていた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ