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毒舌少女のために帰宅部辞めました  作者: 水埜アテルイ
第2章 あなたに囁く少女たちの物語

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生徒会という未知


 放課後。

 俺とアリナは鶴に案内されて生徒会が活動する教室に通された。

 

「ここが生徒会」


 想像通り生徒会はでかいホワイトボードを正面にしてコの字に机を並べた配置になっていた。それ以外は何の変哲も無い。

 部屋には会長、副会長、あと見知らぬホモサピエンスたちで計8人いた。この数字が大きいのか小さいのかはわからない。

 

 何人かは俺らを見てギョッとしていた。当然俺らというよりアリナを見てだが。

 

 まず自己紹介からすることにした。生徒会役員たちは人手を欲してはいたがまさか俺とアリナ、特にアリナが来るとは思ってもみなかったろう。だからまず打ち解ける為にも自己紹介だ。

 初っ端警戒されているので敵ではないことをアピールせねば。


「榊木彗だ。彗は彗星の彗。2年2組で鶴と同じクラスだ。生徒会に関しての動きは素人同然だけど役に立てるよう努力する。少しの間だがよろしく」


 一礼して俺は自己紹介を終えた。

 続いて問題のアリナ。


「日羽アリナ。よろしく」


 あーもう本当にこの娘は。しょうがないからツッコミを入れることにした。


「アリナ君。君は10文字以上自己紹介すると死ぬのかね?」

「うるさいわね。模範解答ぶってる自己紹介でドヤ顔してるあんたに言われたくないわよ。寒いわ」


 彼女はそう吐き捨て中指を立てた。

 中指を立てる行為は下品極まりない。俺は仕方なくその中指をがっしり握った。この指とまれの中指バージョンだ。

 

 で、ビンタされた。

 グーで殴られるよりかは幾分かマシだと思う。気絶しかけたこともあった。シャーペンかは忘れたがそれで刺された時よりは優しい。それでも衝撃は俺の視界を大きくブレさせた。


「はい、じゃあ生徒会役員の自己紹介ね!」


 鶴はそう言った。

 もういいのかよ。アリナは製造番号を読み上げる人工知能並みに適当だぞ。それでいいのかよ。

 そんな俺の切実な思いを踏みにじるように生徒会長が大きく右足を踏み出して口を開く。


「生徒会長の関です。関潤。2年4組だからあんまり接点はないね。来てくれてありがとう!」


 彼はほどよく熱血で真っ直ぐな人という印象だった。純情で初々しい目をしている。俺の隣にいる薔薇とは大違いだ。

 そう思った矢先つま先を踏みつけられた。どうやらこいつはエスパーらしい。是非ともユリゲラーと対決してくれ。1ドルくらいは賭けてやる。

 非常に失礼ではあるが、関潤という名前はなかなか面白い。関潤、せきじゅん、席順。いやぁ、実に面白い。


 副会長、書記係、文化祭担当役員、体育祭担当役員、など自己紹介が続いた。正直、覚えてない。席順、じゃなくて関潤生徒会長と鶴しか記憶に残っていない。

 人間の記憶力なんてそんなもんだし、自己紹介がその程度だったということだ。自己紹介はどの環境や組織においてもとても重要なことだ。第一印象の鮮烈さはとても強い武器になる。自己紹介がつまらないとそれだけで評価が決まってしまうときもある。だから独特な方がいい。

 そういう意味ではアリナの自己紹介はいいのかもしれない。目立つからその人を知りたくなるのだ。こいつがそれを意識してるのかはわからない。だが一定の効果はあるだろう。


 俺とアリナは文化祭における手伝いなので、生徒会の文化祭担当役員と話し合うことになった。

 文化祭担当役員は佐伯詩帆という同学年の生徒で、生徒会と文化祭実行委員会を繋ぐ役割を担っているそうだ。


「初めまして。佐伯詩帆です。てかさっき自己紹介したね。改めてよろしくねー!」

「こちらこそ。早速質問なんどけどさ、いいか?」

「もちろん!」

「文化祭まであと3週間くらいなわけだけどさ、俺らって今からなにができるんだ?」


 クラスや部活の出し物はもう提出して終わってるはずだし、徐々に形になってきているはずだ。俺ら二人が生徒会の文化祭担当役員の下で動いてもやることがないんじゃないかと思ったのだ。生徒らは計画を実行している段階なので、俺たちが干渉してもいいことはない。

 だとしたら何をするのだろう。


「文化祭のオープニングを作るには生徒会の調整が必要になるし、これは部活動を束ねる生徒会と文化祭実行委員会の協力が必要なのね。他高校との交流、一般客、先生たちとの連携も生徒会がメインとなって動くからすぐ生徒会から人がいなくなる。

 つまりね、私たちは文化祭を肉付けするんじゃなくて、肉を動かすの。だからやることはいっぱいだよ」


 詩帆の説明を一回で完全に理解できなかった俺はアリナに目で助けを求めた。

 しかしアリナはこちらを一瞥もせず真摯に詩帆の話に耳を傾けていた。やる気出してんなぁ。

 そのやる気を証明するかのように彼女は喋り始めた。


「協力するわ。この文鎮をこき使えばなんとかなるわ」

「なんで俺が文鎮なんだよ」

「腹立つからよ」


 意味不明だ。文鎮に恨みでもあるのか? 会話が成り立たないので俺は流すことにした。

 最近アリナの扱い方がわかってきた気がする。まともに会話しようとするから調子が狂うんだとわかった。1足す1は2だがあいつなら「1足す1はプテラノドン」と答えるかもしれない。あり得ない話に思えるがそういうやつなのだから気構えるに越したことはない。




 その後は現時点で予定されているスケジュールや自分たちの役割を要約して佐伯詩帆が簡単に説明した。初日はそれで終了し、明日から本格的に動き始める。

 ぶっちゃけ未だに何をするべきなのかわかってないので俺は不安だった。対してアリナは毅然とした態度で終始聞いていたので別人かと思った。


「どんなことをやるか理解してたか?」


 校門まで二人で歩きながら訊いた。


「大体は。生徒会側が具体的な内容を言わなかったから腑に落ちない部分もあるけど想像はできる」

「流石です」

「ウーパールーパーには難しい話だものね」

「せめて哺乳類にしてくれ」


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【リメイク版・毒舌少女のために帰宅部辞めました】
わたしの愛した彗星

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JKマンガ家の津布楽さんは俺がいないとラブコメが描けない

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