小話が足りない…!そうだ、小話を書こう!!
小話のなので読みたい方だけどうぞ。これから読まれても意味はわからないと思うので、なにかが足りてないシリーズをお読みいただくと大変わかりやすい仕様になっております。
☆ムーナとオルズロクと迷彩と☆
ある日のムーナとオルズロクの会話にて。
「お前のその服は、意味があるのか?」
ムーナのド派手なオレンジ色の迷彩服を眺めながら、兼ねてより疑問思っていたことを聞くオルズロク。いつかは聞こうと思っていたものの、奇抜なその服よりももっと突飛な行動ばかりするムーナ自身の突っ込みに忙しく、なかなか聞けずじまいになっていたのだ。
対するムーナと言えば、最初は何を言っているのかときょとんとした後、自分を抱きしめるように腕を回してオルズロクから身を隠すように捩じると…、
「あげませんよ!?」
「いらん」
オルズロクのあまりの返答の速さに口を尖らせつつも、自分のお気に入りの服を取られないとわかって、ほっと胸を撫でおろすムーナ。そして、自分を抱きしめていた腕を今度は腰に当てて、自慢するかのようにオルズロクの方へ胸を反らすと、
「かっこいいでしょうっ!!」
鼻息も荒く、えっへんと威張り腐るムーナだったが、次の瞬間には地にひれ伏すことになる。
「ださいな」
さらっと真顔で真実を告げるオルズロクにムーナは信じられないと言った風に口を開け、がっくりと膝を床に尽きた。
「こんなにかっこよく、たいへん目立つ仕様なのに…、ださい?…ださいとかって…信じられない!!」
がばりと顔を上げて、オルズロクを睨むムーナの顔は親の仇を見るかのよう。
「ださいだろう。完全に。そして、隠れて行動するのにその色はないだろう。オレンジだぞ?オレンジ。お前は何を目指してるのだ?」
そう言いつつも、そんなムーナを心底楽しんでいるオルズロクは、表情に感情が出ないようにするのに必死だったりする。
「なんですか、その言い草は!?なんですか、色がいけないんですが!?色が!!このオレンジ色はすごいんですよ!!ササ村秘伝の塗料を使って、暗闇で光るんですよ!!ピンクならいいんですか!・ドピンクなら!!」
いやいや暗闇で光るとか意味が分からに上に、ドピンクとかさらに派手になっている始末。おかしくて肩が震えそうになるは、笑いを堪えるのに腹筋を使うはで、結構大変な具合のオルズロクにムーナはさらに追い打ちをかける。
「そもそもこの服は、目立ってなんぼの服なんですよ?迷子になってもすぐ見つかる。その上、大変動きやすく丈夫なんです。こんな素敵服、ササ村でしか作れないんですよ!!」
そろそろオルズロクの顔面も腹筋も崩壊しそうだ。お前はそんなにしょっちゅう迷子になるのか?とか、それはお前が子供認定られていたんじゃないのかとか、言いたいことはあるのだが、今口を開くと大変なことになるのがわかっているので、無言を貫くオルズロク。
「そして、そんな服を着ていても、誰にも見つからない私!!かっこいい!!」
言い切って、腕を突き上げたムーナをぽかんと眺めるしかできないオルズロク。
「ね、陛下。私ってとってもユウシュウでしょ?」
ニヤリと片方の口の端だけを上げて、オルズロクに笑いかけるムーナに、オルズロクはハッと気づくと、同じようにニヤリと笑ってみせる。
「ああ、大変優秀な側室殿だな。そんな優秀な側室殿は、床の上でもユウシュウなのだろうな?」
「それはないです。私、未開通ですから」
オルズロクの発言から、途端にこの会話に興味を失くしたムーナは無表情言い放つ。
敵は手強いなと、オルズロクは苦笑する。が、そんなおんなを落とすのはどんなに楽しいものかと想像すると、楽しくて仕方がない。
不吉な予感がしたのかぶるりと体を震わせてオルズロクを窺うムーナに、満面の笑みを浮かべてやると、
「キモっ!!」
とっても不敬な言葉を吐いて、ムーナが目の前から消えた。
通常ならば、罰則を受けても仕方のないムーナの発言だが、幸いこの会話を知るものは話していた当人同士だけ。甘い睦言だと、オルズロクはニヤリと笑った。
その時、逃げたムーナに悪寒が走ったとか走らなかったとか。