おおかみ達の言うことにゃ
《PM9:00》
[ちくしょう、あいつらさっさと書きやがって…>(´д`|||)
[全然思いつかねぇ>( ´_ゝ`)
[物語、物語>゜゜(´O`)°゜
─( ̄ー ̄)
──(;つД`)
───!Σ( ̄□ ̄;)
《PM10:00》
[っ!?もうこんな時間かよ…>(´д`|||)
[やっぱ、俺には向か…>( ´_ゝ`)
[?………やべ。っ来た!来たぞ、おい>Σ(´д`)
[書ける。書ける気がするゾッ>(`□´)
[うおおおおおおっ>(*`Д´)ノ!!!
《PM11:17》
[ふふ>(* ̄ー ̄)
[ふはは>(* ̄∇ ̄)
[ふははははは>(。-∀-)
[書けた、書けた。俺ってやっぱ、やるときゃやる男だね>(*´∀`)
Σ( ̄ロ ̄) [ちょっとあんた、まだ起きてたの?早く寝なさいよー>
(* ̄ー ̄)<ああ、今から寝るって]
[明日が楽しみだぜ>Ψ( ̄∇ ̄)Ψ
(-_-)zzz
「なぁ。どうして俺達は悪者扱いされるんだ」
ある日、ある時、ある場所で。
一匹のおおかみが仲間のおおかみ達を集めて言いました。
「仕方がないんじゃない。肉食だし」
友達の一匹が眠そうに答えました。回りもうんうんと頷きました。
「馬鹿を言うなよ。それだったら狐だって猪だって熊だって肉を食うだろう」
最初のおおかみがそう反論しました。皆は「それを言ったらもとも子もないよ」という顔をしました。
とりあえず、別のおおかみが答えました。
「熊は何でか魚を食べるので有名だし、狐は僕達とそんなに扱いは違わないよ。悪者ってよりは卑怯者って感じだし。そもそも猪が出てくる話ってなんなのさ」
「知らん」
確かに、おおかみが悪者として扱われる物語は多いですが、猪が出てくる物語は知られていません。
すると、また最初のおおかみが言いました。
「と言うか猪達、物語で活躍しないくせに何で十二支なんぞに選ばれてんだ?おかしいだろう?」
「かけっこで決めたんだろ?それこそ有名な話じゃないか」
「だからそこ。そこだよ。かけっこ」
別のおおかみの発言に、ビシッと爪を差し、「爪で差すなよっ」と注意を受けながら最初のおおかみは言いました。
「何でおおかみが呼ばれてないんだよ?どのページを捲ったところで出てきて無いんだよ」
「都合が悪かったとか」
「もしくは予選落ちとか」
「予選落ち……だと」
愕然とおうむ返しして最初のおおかみはうなだれました。
「た、確かに。それなら辻褄が合う…くそ。大事なところではないとはいえ、省かれるなんてっ」
悔しそうに肉球の部分をペチペチならしました。
「でもさ、勝てなかったんなら無理して載せる必要も無いのは確かだよね」
「だよねぇ。もしかしたら書けないほど恥ずかしい負けかたしてるかも知れないしね」
「言えてる言えてる。恥ずかしくなくってもさ、昔話って時代背景っての?案外エグくなってたりするもんね」
「あるあるっ」
「ええい、うるさい。猪はもぉ良い。狐だ、狐」
ガヤガヤと喋り始めた他のおおかみ達に次のテーマを投げ掛けました。
「あいつら卑怯者扱いされる話もある、がっ。普通に感動的な話も用意されてるじゃないかっ」
「でも……………感動的な流れだと大抵死亡フラグだよ」
「くそっ。悪として生きるか、善として死ぬかしかないってのか…かわいそ過ぎんだろっ、狐」
最初のおおかみは鳴らない肉球を何度も何度もペチペチ叩きました。
回りのおおかみ達も黙って、「だからそれを言ったらもとも子もないよ」というのをグッと堪えて、船を漕いだり、今日のおやつや自身の本の出演時間を考えたりしながら見守りました。
すると、ひときわ目立つ白い毛の大柄のおおかみが言いました。
「おい、こんな無駄な話し合い、今日はもうお開きにしようぜ」
あまりの正論に皆は「空気読めよ。またあいつが騒ぐだろ。ようやく静かになったのに」とその白いおおかみを見ました。
皆の思ったとおり、最初のおおかみは白いおおかみに話しかけました。
「無駄…だと」
「ああ、そうさ。無駄さ」
怒ったようにいう最初のおおかみに、白いおおかみは平然と返しました。
「だってそうだろう?今さらグダグダ言ったところで変わらないものは変わらない。それよりも精一杯悪役でも何でも自分の役割を果たせば良いだろうっ」
その通り過ぎて、他のおおかみ達は黙りました。言えたとしても火に油、猿に犬やら呉越の仲になってしまうのを面倒くさがりやめました。
しかし当然、最初のおおかみはやめませんでした。
「黙れ、フェンリルさん。いくらあんたが名前持ちのおおかみだからってな、いくら神話級のおおかみだからってな、偉そうに言われたく無いんだよっ」
最初のおおかみは半泣きしながら言いました。
「だいたいあんたに何がわかる?北欧神話だか何だか知らないが、最近じゃ漫画やアニメ、ゲームの世界に引っ張りだこ。かっこよさ断トツのあんたからしてみりゃ、七匹の子やぎの名もないおおかみの俺の言葉なんざ」
「漫画諸々を含め二百作品以上に参加した」
静かに白いおおかみが話始めました。
真面目な声に最初のおおかみは思わず黙りこみました。
「しかしそのほとんどが惨殺、封印の悪役、敵役。生き残りでは良くて好敵手扱いされてるがメインを張ることなんて皆無、気づけばフェードアウト。悪けりゃ単なる当て馬で終わり、結果フェードアウト」
他のおおかみ達の生唾を飲む音が聞こえてきました。
「しかも大抵生き残り物語は首が三つ映えただけのケロベロスに力でも、地位でも負けるような話ばっかりだ」
「だ、だけどやはり人気が…」
「そもそも、だ」
声をかけかけましたが、最初のおおかみはやめました。
「ケロベロスはギリシャ神話で俺は北欧神話だ。ジャンルが、レーベルが、ストーリーが違うんだよ」
「で、でもおんなじ神話だし」
「なら聞こう」
他のおおかみ達は聞かれました。もはや聞く以外は許されない雰囲気だったのです。
「お前達はイソップやグリム、アンデルセンや日本神話、中国古記に登場したとして、だ」
白いおおかみは一度区切り、他のおおかみ達を見渡しました。
最初のおおかみ以外は「自分を見るな」という気持ちで一杯でした。
「突然、全く知らないキャラクターが登場してきたらどうする?」
「ど、どうする?というと…」
「例えばだ。赤ずきんのおおかみに問おう」
「お、おう、ワシか」
「襲おうとした赤ずきんが某神殺しをテーマにしたゲームのポスターで目立つあのずきん少女だったらどうする?」
「ぼ、某神殺しのゲームじゃと………誰の事を言っているんじゃ…」
「知らないのは無理はない。しかしだ。返り討ちに合うのは目に見えているぞ。何故ならあの手の奴等は〃勝つ〃まで襲ってくるからだ」
「いや、じゃが、さすがにそれは例えとして…」
「違う、と言いたいのだな。わかった。では、三匹のこぶたのおおかみよ」
「今度はうちかいな」
「有名どころ…そうだな。長男がいきなり猪八戒だったらどうする?」
「ちょは…って豚違いやんっ。それこそジャンルが」
「だが、豚は豚だ」
有無を言わせない力強さに三匹のこぶたのおおかみと呼ばれたおおかみは黙りました。
「そして敵を薙ぎ倒すあの武器でお前は…くっ」
「あっ。今、うち死にましたやん。せっしょうないわ。近年は仲良しこよしがはやってんねんで」
「今度こそどうだ。わかったか。つまりはそういう事だ。赤いずきんや豚だと言うことが共通してるというだけで突然あらわれるんだよ、最近は」
どういう事だ、なんて誰一匹言いませんでした。
とにかく納得しなくてはならない、そう思わされたからです。最初のおおかみも今では男泣き、いえ、雄鳴き状態です。
「おま、お前も、苦労してんだな」
「ああ、まぁな。だからこそ安定した昔ながらのストーリーを大切にされてるお前達が羨ましかったりするんだぜ」
ペタン、と肉球を合わせ二匹は友情を確かめました。
なんとなく纏まるところに纏まったか、と他のおおかみ達は思いました。これで終われる、と思ったのです。
ところが。
「そう言えばこの間フェンリルさんは人間の女の子になってましたね」
暴風雨の夜にモコモコと仲良くなる新参者のおおかみさんが言いました。
「な、なんだと」「どいうことだ」「もはやジャンルなどの問題ちゃいますやん」
ざわつきました。
白いおおかみは震え出しました。
「だぁぁぁぁぁぁぁ、見られたぁぁぁぁぁぁぁ。最悪だっ」
うち震える白いおおかみ。どうしたのだろうか、遠巻きに見ていたおおかみ達も驚きました。
「な、ど、どうした。友よ」
「見られた。観られてたのか」
「え、ええ、まぁ。僕もメディアへの露出が多かった時期に、少しだけ。あの時はアレがフェンリルさんだとは気がつきませんでした」
「やめろぉぉぉぉっ。忘れろっ、無くせっ、その記憶、今すぐ無くせっ」
「止めろ、フェンリルさんを止めるんだっ、皆」
暴風雨の夜にモコモコと出会ったおおかみに突然襲いかかった白いおおかみをその場にいたおおかみ全員で取り押さえた。
「どうしはったん」
「そ、そうじゃぞ。あれほど落ち着いておったお主が何故」
「あれは…」
「「「あれは」」」
「擬人化と言って、いわゆるフェンリルというキャラクターを人間的にイラスト化したものなんだ」
「???」
「つまり。あれは俺であり、俺じゃない」
その後、皆に取り押さえられた白いおおかみはポツリポツリと呟きました。
「あれはおおかみに人間の要素を持ってきたんじゃない。おおかみ風のファッションを装ったただの人間だ。そもそも設定上俺は長男。立派に性別がある。だのに、何故、わざわざ変える必要がある?それは本当に俺か?なぁ、俺なのか?教えてくれぇぇぇぇ」
最後の方、少しだけ発狂したような叫びは皆の心に響きました。
「確かに安定は大事だな」
「人気者には人気者なりの苦労があるっちゅうこっちゃな」
「ああ、昔ながらのストーリーに感謝しよう」
「僕も気を付けます」
ある日、ある時、ある場所で。
おおかみ達はそんな風に楽しそうに新しいお話を生み出しているのでした。
(* ̄ー ̄)<で、これが夜のテンションで書き上げた]
[そ、そうだよ。悪いかよ>(´д`|||)
[笑いたきゃ笑えよ>(´□`;)
( ̄ー ̄)<………]
[なんか言えよっ>(`へ´*)ノ
( ̄ー ̄)<別にいいと思うけど]
[へ?>Σ( ̄ロ ̄)
(  ̄▽ ̄)<あたしゃ好きよ。こういうの]
[………>(//Д//)