満天の星空
君はいつも笑っていた。
満面の笑顔で。それは、決して僕だけのものじゃないってことは、よーく分かっていた。
でも、いつも一緒にいると、とても嬉しくて。この感情は何なのだろう。
まるで、本当に僕がもう一人抜け出たみたいに、僕とそっくりだった君。
外見も、感情も、趣味も、何もかも。
僕が転びそうになると君が支えてくれて、君が落ちそうになると、僕が助けて。
二人で支え合って、二人で欠陥を埋めていって、二人で完璧な僕《きみ》
生まれたときから二人だった、ずっと二人だったのに…………………
僕《きみ》が一人いなくなった。
大切な支えを失って、欠陥を埋める穴がなくなって、落ちそうになっても、すぐ助けてくれるものはいなくて………
今の僕《きみ》は穴だらけのレンコン。
ぼろぼろの使えない僕《きみ》は、一人満天の星空の元、横たわる。
ふと気がつく。
この完璧なまでに美しいものは、どうやって出来たのだろうか。
ただ広くて、暗い空の中、星達がきらめく。
……あのきらめく星達は、すべての人たち。
沢山の人と、巡り会って、星を増やす旅に出る。でも、空は一つだけ……
僕をもっとも輝かせた星の君は、もう居ない。
でも、いつか、巡り会う中で、様々な人と、街と、自然と、そして、僕も知らない別の君とも出会っていく………
満天の星空の元、僕《きみ》は今、僕自身になる。