エピローグ
それから数日後。
そこには、すっきりとした表情をしている淑子の姿がいた。
「なにかあったの?」
愛美が、ちょっと心配して聞いてみる。
「あ、愛美。実はね、メールが来たの」
「誰から」
そばにあった椅子に腰かけ、愛美はじっくりと聞ける体制を取った。
「当然、一人しかいないじゃない」
「もしかして、敬介のこと?」
「そうなの。敬介くんからメールが来たんだ」
「どんな内容?」
「付き合うのは、愛美を倒してからだから、まだ先になると思うけど、高校卒業までに倒せなかったら付き合ってほしいって」
「やったじゃん」
「ね」
大喜びしている淑子に、愛美は言った。
「ま、あいつのことだから、下手したら卒業できないかもね」
「それは絶対に阻止するから、大丈夫」
「出席日数とか大丈夫なのかな」
「…大丈夫だよ」
その声に二人が振り向くと、珍しく学校に顔を見せた敬介がいた。
「あんた、来たんだ」
「まあな」
愛美が声をかけると、敬介は軽く返事をした。
「出席日数とかは、心配ないぞ」
「どうして、余り学校に来てないんじゃないの?」
「それでも、卒業に必要な日数やら、授業やらは受けているからな。それに、これでも部活ではかなりいいところまでいっているし、大学の人たちと交流試合とかしているからな」
「あれ、部活してたんだ」
愛美が驚いた声を出す。
「何の部活?」
淑子が敬介に聞く。
「ボクシング部さ。高校では、あまり部員数が多くないから部室がないんだ。それで、大学の法と提携して、部活を行っているっていうわけ」
「いいところって?」
「府大会準優勝。でも、全国大会にいったら、2回戦で負けたけどな」
「すごっ」
愛美と淑子が驚いた。
そして、月日は流れ、3人の卒業式があった。
「いやはや、無事に卒業できるとはな」
がやがやと騒がしい教室、黒板には卒業おめでとうの文字と、みんなが好き勝手に書いた文字や絵がきれいに輝いている。
「あと1日でも学校休んでたら、アウトだったんでしょ」
敬介の横には、愛美と淑子がいた。
3人とも、すでに黒板に寄せ書きを書き終えていて、携帯のカメラで写真を撮っていた。
「まあな。だから良かったよ」
敬介がぼやく。
「……それでさ、淑子」
愛美は、何か飲むと言って、二人から離れた。
そのすきを突いて、敬介が淑子に尋ねる。
「……答えは知ってるでしょ」
「そうだな」
敬介はキスをしようと一瞬したが、やめた。
顔を向け、淑子と目があった瞬間、淑子はニコッとほほ笑んだ。
「…そうだな」
敬介はもういちどつぶやいて、ゆっくりと指をからめる。
淑子からも、指をからめていく。
そして、二人はしっかりと手をつなげた。




