やってはいけないこと。それは…
「あいちゃん、待って…」
中庭掃除をしていたはずの私はなぜか必死になって走っている。
まあくんが走ってきたのが何か…怖くて逃げてしまった。
…で、現在に至る。私の安全が確保できる所は…あそこしかない。
とにかくダッシュで階段を駆け上って私は図書室に逃げ込んだ。
「匿って。理由は聞かないで」
「あー、はいはい。奥に隠れなさい。後でゆっくり聞きましょう」
私は図書委員しか入れない書庫の奥に身を潜めた。
ガラッ。まあくんが来たみたいだ。
どうか…ここまで来ませんように。来られちゃったらアウトだもの。
まあくん、今日は私が図書委員の日だというのは分かっているよね?
多分…委員の当番が終わった頃に鞄を持って迎えにくるはず。
今は…まだ…会いたくない。
まあくんが図書室に追いかけて来るかと思ったけど…実際には来なかった。
代わりに…教室で待ってるというシンプルなメールだけ届いた。
今までなら、まあくんは押し掛けて来ていたからそのメールは私の拍子抜けさせるには十分だった。
とりあえず、5時まではカウンターの仕事や返却・修繕をして過ごした。
「図書委員さんはお疲れ様でした。後1時間は先生がいるから大丈夫よ」
夏時間の4月から10月までは、司書さんと国語の先生が図書室の管理をしてくれる。
「それでは、お願いします。お先に失礼します」
「あい…分かってるわね?」
「分かってます」
先生達は私にちゃんと謝るようにといいたいようだ。
たまには…私が想っている事をまあくんに伝えた方がいいのかもしれない。
私の大好きが皆が想う大好きと同じじゃなくてもいいと思う。
まあくんなら…ずっと一緒のまあくんならきっと分かってくれる。
家庭科の授業の時、一つだけ私には結論が出ていた。
そのことだけをまあくんに謝った後に伝えよう。
それだけで十分な気がしてきた。
今回は少しだけ短めです。
パニック起こして逃げ出しましたが、作業することでクールダウン。
その結果、あいなりに結論を出したようです。
次回は…少しだけ、恋愛模様です。




