004
一時間ごとに予約更新中。現在三月十一日十八時。
客は女性だった。
今、女性と客人とはちゃぶ台を隔てて向かい合って正座している。
女性は食事を邪魔されたため、そこはかとなく不機嫌そうである。
対して、客の女性は、図らずとも女性の食事を邪魔してしまった罪悪感からか、それとも目の前に座っている女性の迫力からか、口を開くことさえも出来なくなっていた。
まあ。
女性の傍らに置かれている大小の威圧感のせいかもしれないが。
客人の女性は、藍色の袴を着、上から藍色の羽織を羽織っている。
全体的に蒼系統でまとめられた、どこか浮世離れした格好だった。
「それで――」
「ひゃ、ひゃい!」
飛び上がった。
いや、飛び上がったように思えるほど、客の女性の声は上ずっていた。
「そこまで緊張なさらずとも、取って喰いやしませんよ。ご安心召されよ」
「あ、有難う御座います…」
赤面し、うつむいてしまう客人。
まあ、噛んだ後に心遣いまでされたのだ、赤面ぐらいは仕方がないだろう。
「それで、どちら様でしょうか? 確かに私がこの道場の主、朽葉楓と申す者ですが」
「はい。 私は浅葱葵と言います。 実は、あなたを腕の立つ剣士と見込んでの頼みがあるのです」
頼み。
その言葉には、楓の好奇心は多少動かされたが、今の楓にはそれ以上に重要な事柄があった。
それは――
「そうですか」
「はい。いかがでしょうか…?」
「申し訳ありませんが――」
「駄目、ですよねそうですよね。ごめんなさいいきなりこんな事言って――」
「先に朝食を済ませても、良いですか?」
「へ? あ、どう、ぞ?」
空腹が、そろそろ限界だった。
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