とある東大生の独り言
人生は何があるか、わからない。
わからないから、私たちは闇雲に何かを掴もうと手探りをしながら、一歩一歩、歩んで行く。
去年、春。私は東大に合格した。高校3年間、これを目標に勉強をがんばって来たから、とても大きいプレゼントを神様が与えてくれた。
ところが、「得る」と「失う」は双子。何かを得るとき、気づかないけれど、必ずそれに見合う何かを失っていく。
私の場合は、たくさんの時間ちゃん。そして、大好きだった彼氏くん。もっと小さなものも失ったかもしれないけれど、目だって失ったのはこの子たち。
時間ちゃん。
私は、この子たちをたくさん犠牲にしてきた。受験という巨大な怪獣に捧げてしまった。
パパやママと一緒にお夕飯をいただく時間、友達と一緒に映画を見に行く時間、ピアノを弾く時間、テニスをする時間・・・
時には彼氏くんとデートする時間まで。
私は受験獣に盲目だった。怖かった。押しつぶされそうで、食べられそうで。いつもいつもびくびくしながら机に向かって、勉強した。いくら勉強しても、すぐに受験獣は私に追いついて来て、ちょっとの間も休んでると、足を掴まれてしまいそうだった。
学校にもあまり行かなかった。単位ぎりぎりまで、私は授業を休んだ。学校に行って、延々続く先生のお説教を聞いてると、受験獣にがぶりとやられそうだった。
家族と過ごす時間ちゃん。
私が東京へ出るのと同時に、パパは海外に単身赴任に行くことになった。気づけば、3人はバラバラになっちゃった。
そして、彼氏くん。
大好きで、大好きで。一緒に東京に行きたかったから、私はどうしても大学に受かりたかった。でも合格と同時に、ふられちゃった。東大の女の子と付き合うのはプレッシャーだ、って。
たくさん、たくさん、たくさん。私は失ってきた。
後悔??
してないよ。だった神様は引き換えに、とってもたくさん、素敵なものを与えてくれたから。
大学に入って、たくさんの友達に知り合った。みんな、明るくて、一緒にいると時間を感じられなくなるくらい、楽しい。
とってもいい先生たち。眠たくなるときもあるけれど、面白い授業が毎日。
素敵な先輩たち。やさしい生協のおばさま。
失った時間ちゃん、彼氏くん、今までありがとう。失ったことで、私はやっとあなたたちの大切さをわかったよ。
失って、得て、また失って・・・・・・
私は着実に何かを気づいてゆく。
こんな私に、何ができるのでしょうか?
わからないけれど、確かに私が、私の周りがちょっとずつ、ちょっとずと、変化してゆく。
神様のご計画の通りに。
神様のお導きの通りに。
私のこの長い、長い独り言を読んでくれたみんな。
私は東京にいます。
一人で東京の人波に揉まれてます。
時々おぼれそうになりながら。
どこかですれ違うかもしれませんね。
みんなにも神様のお導きがありますように。
ちゃんちゃん
独り言を読んでくださって、ありがとうございます。
執筆ははじめてなので、誤字脱字もあるかと思います、あしからず。




