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狼の恩返し  作者: kuro
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武闘大会3 予選

 武闘大会に出場するためには、「予選」と呼ばれる試験に通過しなければならない。


 また、この「予選」に通らなければ武闘大会本選には出場することは出来ない。


 多少面倒な事かと思うかも知れないが、年々増加傾向にある怪我や事故をなくす為には必要な措置であった。



 そして、予選のルールは至って簡単。



 この国で「騎士」と呼ばれる役職の人間達と模擬戦をし、そこで実力を認められれば、本選への出場資格を獲得できる。


 特に勝つ必要は無く、大会に出場しても無事で終われる程度の腕があると、騎士に認めさせれば良い。


 騎士はこの国でも上位の戦士でなければ就くことが出来ない役職であり、その戦闘技術は当然高い。なので、「おのぼり」でやって来た田舎の若造や金目当てで実力不足の輩はここで落とされる。


 だが、過去にたまたま調子が良くて騎士に痛撃な一撃を入れることが出来た年端もいかぬ少年いたり、見え麗しい貴族の令嬢が優勝候補にまで上り詰めたこともあった。


 ごく稀にだが、こういった例外が現れることがある。大会主催者が予想しない、ダークホースが。


 そして、今回の武闘大会の予選でもそのダークホースが現れた。


 しかも、とびっきりのダークホースが――。



 ――「そいつ」は、予選で担当の騎士を一撃でぶっ飛ばした。



 文字通り、ぶっ飛ばしたのだ。



 「そいつ」は試験開始と同時に走り、剣を構える騎士に構わず、全力で騎士をぶん殴った。


 騎士はしっかりと拳を剣で受け止めていたし、全身に鎧も着込んでいた。


 にも、かかわらず、騎士は殴られた衝撃に足を踏ん張ることが出来ず、勢いのまま宙を舞った。


 騎士がわかったのは、自分が物凄い力で殴られたことだけだった。


 騎士は地面に落ちた後、何とか立ち上がったが、騎士の剣は刃が潰れ使い物にならず、これ以上の模擬戦は不可能となった。


 そして、「そいつ」は周りで見ていた他の騎士や他の予選参加者が唖然とする中、模擬戦をした騎士から本選資格をあっさりと獲得した。



 試験開始から一分も経たない時間での出来事だった。



 そして、この話を聞いた大会関係者は内外を問わず「そいつ」の名前を調べ、そして覚えた。



 「そいつ」の名は――ガルー。



 最近警備隊に所属し始めたばかりの、まるでチンピラのように目つきの悪い青年だった。


 


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