意味がない
「魔剣」と呼ばれる武器がこの世にあり、辻斬りが持っている刀も「それ」に属する。
遠距離にいる相手だろうが致命傷を与える事が可能な、かまいたちを起こす風の「魔剣」だった。
辻斬りはその力を試すために何度も人間で試し切りをしてきた。
何度も人を斬る事で魔剣は手になじみ、そして、その力を完全に扱えるようになったと辻斬りは確信していた。
だが─、
それはガルーの前では意味がなかった。
※※※
風の刃が男の体に直撃する。
だが、男はそんな攻撃を意にも介さずに自分に向かって歩いてくる。
ゆっくりと、ゆっくりと。
まるで、自分の攻撃などなかったかのように平然と歩いてくる。
風の刃は確かに男に当たった。
傷もつき、血も流れている。
だが、意味がない。
風の刃でついた傷など、この男には意味がない。
なぜなら─
自分がつけた傷は、次の瞬間にはもう塞がってしまうのだから。
ありえない早さで完全に傷はなくなる。
その光景は不気味としかいいがない。
そして、その光景を見てやっと自分は気がついた。
「化物」に、こんなものが効くはずがないことに。
そこから、地獄が始まった。
※※※
「死ねッ!! 死ねッ!! 死ねぇッーーーーー!!」
「………。」
辻斬りの剣は魔剣の類だったらしく、何度も見えない刃が俺の肌を斬った。
さすがの俺も魔力を帯びた「力」には傷を負う。
初めはそのことに薄ら笑いを浮かべていた辻斬りだったが、しばらく攻撃を続けていると顔を驚愕で歪めた。
「どういうことだッ!?」
「………。」
辻斬りは気がついたようだった。
血が流れたのは傷を付けられた一瞬だけで、それ以後は全く血が流れていないことに。
これは人狼の力の一つだ。
あり得ない早さでの「回復力」
どんな深手を負おうとも、人狼の体は次の瞬間から回復が始まる。
そして、辻斬りが見えない刃でいくら斬りつけられようが、臓器までは届かない。
ならば、辻斬りは俺の体に致命傷を負わせることは出来ない。
俺はそのことを辻斬りに確認させると、辻斬りが放つ「見えない刃」を受けつつ、辻斬りの目の前に立った。
そして、
「くたばれ」
その言葉と同時に、右拳を辻斬りの鳩尾に深く入れた。
「ぐぇッ!?」
「………。」
辻斬りのくぐもった悲鳴を聞きながら、俺は辻斬りを殴り続けた。
まず腹を殴り、骨を砕き、内臓を潰した。
そして、それに悶絶して床に転がる辻斬りを、俺は蹴りつづけた。
腹や背中はもちろんのこと、顔や股間も何かがつぶれるまで蹴り続けた。
その間、辻斬りはあまりの痛みに悲鳴も上げられず、ただ呻き声をあげるだけだった。
そして、辻斬りが呻き声をあげることも出来なくなると、俺は辻斬りの手を踏み砕いた。
爪を砕き、骨も甲の部分から指の先端まで砕いた。
手が砕けたことを確認すると、俺は足をどけて、今度はもう片方の手を同じように踏み砕いた。
気がつけば、いつのまに辻斬りは虫の息だった。
だが、俺はそれが気に食わなかった。
顔を掴み、少しだけ足をばたつかせる辻斬りを壁に押し付ける。
「まだ死ぬな。本番はこれからだ」
そして、俺は辻斬りの鼻が潰れた顔を手で鷲づかみにしながら、酒場から外に出た。
別の作品が書けなくて、リハビリ目的で書き始めた作品ですが、何か感想をもらえると嬉しいです。
特に、読みにくかったり意味がよくわからないところがあったら教えてください。
改善できるように努力します。




