賞金首
そろそろ、モンスターの討伐依頼以外もやってみたくなってきた。
理由は、単純に興味があったからだ。
依頼ボードにはモンスターの討伐以外にも様々な依頼があり、俺の好奇心をとても刺激する。
別に、金を稼ぐのにモンスターの討伐が一番効率だろは思っていない。
だ、だから、色々な依頼をこなして一番効率のいいものを探してみるために、ちょっとそういったものをやってみるのもい
いんじゃないかと思う。うん。
まぁ、そんなわけで改めて依頼ボードの依頼を色々と吟味してみた。
そして、結論。
「…モンスター殺してるほうが楽だ」
普通の人間が聞けば目をむきそうな台詞をため息をつきながら言うガルー。
「金持ちの護衛とか、俺には絶対無理だな。つーか、やりたくねぇ」
「はぁー」ともう一度ため息をつきながら、諦めてモンスターの討伐依頼を探そうとしたところで、
「ん?」
ガルーは少し変わった依頼書を見つけた。
その依頼書は普通の依頼書のように細かい仕事ないようが書いているわけではなく、実に簡単な内容が書き込まれていた。
『赤鬼バッカス。懸賞金100万。生死問わず。』
「何だコレ? 人探しか? だけど、生死問わず?」
ガルー気になったので、受付の三人娘に聞いてみる事にした。
※※※
受付に行って、あの依頼書について聞いてみたら、
俺は三人娘に珍獣を見るような目で見られた。
「…えっと、あれは賞金首ですよ」
「賞金首?」
「ようするに、悪いことをした悪人です」
「ふーん」
「そこに書かれている額は、そこに書かれている人物を捕まえてきた時にもらえるお金の金額です。」
「へー、だったらコイツ捕まえるだけで50万もらえるのか」
「そういうことです」
「面白そうだな」
「…もしかして、あの賞金首を狙ってます?」
「ちょっとだけな」
「止めておいたほうがいいですよ? あの賞金首は最近また危険度が上がって、賞金もその分だけ上がるって話です」
「…つまり、金額が値上がりするまで待てって事か?」
「危険だから止めておけって言ってるんです!」
いきなりキレた受付娘にちょっと驚く。
「お、おい何キレて…」
「いいですか!? あなたは確かに強いかもしれないですけど、モンスターを狩るのとコレは全く別ですからね! このバッカスっていうのは王都の近くを通る行商や貴族狙う山賊の棟梁で、すごく強いんですから! 知能の低いモンスターを狩るのとは訳が違うんです! 山賊の一味には魔術師も居るって話ですし、本人だって『赤鬼』って呼ばれる大男で、ゴブリンが使うような大きな棍棒を使って人をバッタバッタと」
「あ?」
ちょっと、待て。今なんて言った。
赤鬼? ゴブリンみたいな棍棒?
…なんだか、凄く覚えのあるフレーズの連呼だ。
俺はまさか、と思って、キレてる受付の娘にちょっと聞いてみた。
「…なぁ、バッカスって奴。もしかして、傭兵くずれだったりしないか?」
すると、受付娘が眉を顰めながら、
「…よく知ってますね。そうです。バッカスは昔は傭兵だったそうですが、今はすっかり落ちぶれて山賊になってますよ」
と、答えた。
俺はそれを聞いて確信した。
「…あー」
間違いない『あいつ』だ。
俺は思わず笑ってしまった。
そして俺は、顔が笑ったまま受付娘にこんな質問した。
「なぁ、そのバッカスって山賊、最後にどこら辺に出没したかわかるか?」
「? まぁ、少し時間がかかるかも知れませんが調べる事は可能ですが、…まさかまだ狙ってるんですか?」
俺の質問を聞いた受付娘は、少し落ち着きを取り戻した。…まだ少し怒っているようだが。
だけど、今はそんなことはどうだっていい。
それよりも、面白い事になってきた。
「…なぁ、山賊ってことは結構金を溜め込んでるはずだよな?」
俺がそういうと、受付娘は不思議そうに、
「…まぁ、被害総額はかなりのものですから、それなりには」と言った。
(よっしゃっ!)
俺はそれを聞いて思わず拳を握り締める。
俺は勢いよくさらに聞いた。
「その金って、山賊捕まえた後どうなる? 俺にもらえるのか?」
「…全額はさすがに無理でしょうが、お礼に少しぐらいはもらえるんじゃないですか?」
どこかなげやりな受付娘の答えを聞いて俺はますます拳を握り締める。
そして、
「なぁ、その山賊がよく出没する場所を通りたい商人とかいないか?」
「それは沢山いますよ? でも、みんなその山賊が怖くて…」
俺はその台詞が終わるか終わらないかの内にこんな事を頼んだ。
「だったら、どうしてもそこを通りたい奴らの護衛。俺にさせてくれ」
この俺の頼みは受付娘に少し眉をしかめられたが、結果として話しは通った。
そして、次の日の朝から俺は。
山賊がよく出没する危険な街道を通る商人達の、「護衛」をすることとなった。
次で多分ガルーが戦います。
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