合流
『俺に恩を返させろっ!』
俺が大声で叫ぶと少女は身を竦ませ、目を丸くして俺の事を見た。
「わ、私は─」
「えっーと、君達? 白昼の人通りの多い街中でこれ以上はちょーっとやめたほうがよくないですか?」
「「!?」」
そして、少女が何かを言おうとしたところで、途中で邪魔が入った。
声のした方を見れば、そこにいたのはギルドに置いてきた俺の旅の相方だった。
そいつは俺の荷物と自分の荷物を両手に持った、酷く間抜けな姿で俺達のことを見ていた。
だが、よく考えると間抜けなのは俺のほうかもしれない。
白昼堂々と、街中で少女に向かって熱く叫ぶ男。正直、自分のことじゃなかったら見た瞬間に爆笑するか呆れているかのどちらかだっただろう。
俺はその事に気がつき、顔を少しひくついた。
だが、そこは何とか悟られないように低い声を出してごまかした。
「あぁ? なんだよお前、なんでここにいるんだよ?」
「貴方達を心配で追ってきたんですよ。意外にも簡単に見つかってよかったです。真昼間から喧嘩している男女が騒いでいると、街の人たちが話していたのでその騒ぎの場所に行ってみたら、案の定でした。」
「……くそっ」
俺は小さく舌打ちした。
だが、こいつのことは今はどうだっていい。
俺は話の続きをするために少女のほうに振り返った。
「おい、さっきの話の続きだけど─」
「おっと、ガルーそれはちょっと場所を変えましょう」
「あ? 何でそんな事─」
少女と話の続きをしようと所でまた邪魔が入り、俺はルースに文句を言おうとしたが、
「…周りを見てください」
「ん?」
ルースの言葉に、俺はおもわず周りを見回した。
すると、いるわいるわ。人が俺達三人を囲むようにぐるっと丸く人垣を作っていた。
俺はそれに小さく舌打ちをした。
「くそっ」
「まぁ、そういうことです。そこのお嬢さんと話の続きをしたいなら場所を変えましょう」
「…わーったよ。…おい、ちょっと悪いが場所を変えるぞ」
俺はルースの言葉にしぶしぶ頷き、少女に話の場所を変えるために声をかけた。
声をかけると、少女は何故か少しボーっとしていた、
「…おい。アンタ話聞いてたか?」
少女の視線を追ってみると、その先にはルース。どうやら、ルースの顔を見て顔を赤くしていたようだ。
俺はそれに少し呆れながら、「…行くぞ」と言いながら無理矢理手を引いて、適当に話が出来る場所を探した。