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君へ想いを伝えたい

作者: 山口甘利
掲載日:2025/10/09

 暇な時は、小説を書いて投稿している。いわゆるそれが趣味なのかも知れない。

 髪をよくいじったりしている俺が小説好きなんて、誰も知らないと思うし、ましてやそれを書いて投稿しているなんて知らないだろう。

 俺は今、詩央里への想いを小説に書いて投稿した。タイトルは「君への想いは停滞中」。

 時刻は21:17。お風呂も入り終わった後ベットでゴロゴロしていた時、ふいに書こうと思ったからだ。展開はまだないけれど。


 次の日の朝、なんとなく悪い夢を見た気がしていつもより早く目が覚めた。少し早めに学校に着くと、菜々香は一人で宿題をしていた。

「あっ、おはよ〜。今日早いねー珍しい!」

 少しニヤリと菜々香が笑う。

「なんかたまたま早起きしてさ。」

 ほんとなら今日はゴロゴロしてから、いつも通り遅刻寸前に教室を入る予定だったけれど、昨日書いた小説を見せると決めていた。どんなやり方なのかと思うけれど、これが自分にとって一番良い気がする。

「ねえ、ちょっとだけこれ読んでくれない?」

 心臓がドクドクと体中に響き、こめかみに汗が流れてきた。友達に好きな人がいることを報告するのはこんなにも恥ずかしいのか。いや、多分俺が慣れてないだけ。

 俺は鞄からiPadを取り出し、小説サイトにログインして、本を見せた。

 どう思われるのか不安な気持ちの中、菜々香は黙々と読んでいた。読み終わった後、目をキラキラさせながら菜々香は言った。

「詩央里ちゃんのこと好きなんだ。こんな回りくどいやり方しなくても良かったのに。私全力で応援する!」

 えっ、思わず笑みが溢れる。

「ありがとっ。」

「当たり前でしょ。で何かすることある?」

「んー、じゃあさ詩央里の好きな人聞いてよ。」

 なるほどー、と納得したような顔になった。

「わかった、じゃあ聞いとく!」

「まじっ!ありがと!」

 嬉しい、ただ純粋にそう思った。


 国語の授業の先生は、あまり生徒を見ていない。だから内職をしたり、iPadで遊んだりしている生徒が多い。俺はもちろん授業を聞いているけれど、今日は占いをしてみようと思った。

 最近テレビによく出ているし、去年の担任と同じ名前だとかでHRの時に話していた覚えがあったからだ。

 リンクを開き、自分の名前と誕生日を入力した。

 下にスワイプしながら順に読んでいるとある文章が目に入った。

 “好きな人ができやすい。”

 確かに、そうかもしれない。詩央里の前にも、その前にも好きな人がいた。でもこんなにガチ恋したのは、何度もした恋の中でまだ二回目かも知れない。一回目はサラッと離れていってしまったあの恋。

 好きな人がすぐに出来ると、“女たらし”だとか“女子高生みたい”だと思われるのが嫌で同じ人にばかり相談するのも気が引ける。でもそれは中学生だから仕方ないのかな?と心を落ち着かせる。そう、思っておこう。


 放課後、菜々香に回答を聞いてみると、答えはまだ聞けてない、だった。そりゃそうだなと思う。聞いてくれようとしているだけで感謝しかない。

 帰り道、自転車を漕いでいると、前に同じクラスの麻央がいた。麻央は基本的に誰とでも仲良くなれる人だから交流関係が広い。

 後ろから追いついた。

 友達関係の話だとか、最近のテストの話、休日の話しをしていた後、クラスの恋愛の話に移った。あの子とあの子は付き合ってるね、だとか出席番号順に一人一人について話して行った。

 次が詩央里の番だった。

「じゃあ次、30番だから詩央里ちゃんか。」

 俺は緊張しつつ、静かにうん、と頷く。

「詩央里は彼氏いるからね。じゃあ次。」

「えっ、いたんだ。」

 緊張隠しつつ、落ち着いてそう言った。

「うん、じゃあ次は…」

 麻央が何か言ってるけど全く頭に入ってこない。

 ああ、そうなんだ、彼氏いるんだ。この複雑な気持ち。

 菜々香はもしかしたらこのことを知っていたのかな。彼氏って誰なんだろう。

 色々な考えが浮かんでは消えていく。

 俺は失恋としてこと恋を終わらすか、それても片想いとしてまだ続けるか。


 相変わらず、君への想いは停滞中。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

自分自身が感じるこの気持ちが、少しでも伝わればと思い書いてみました。

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― 新着の感想 ―
詩央里さんへの想いを小説に書いて投稿するという主人公の告白の仕方がとても個性的でしたが、趣味で小説を書いていることとそれを人に知られたくないという気持ちがよく伝わってきますね笑 朝早く登校して菜々香さ…
2025/10/10 04:16 退会済み
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