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ブルートアウス ~意思と表象としての神話の世界~  作者: 雅号丸
第四章 傾城帝政

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四話 夜修羅筆頭・魂抜き囃子

第四話 夜修羅筆頭・魂抜き囃子


北西に横列で茂みから寄るのが九つ。火を見た各員はしばらく静止して、月の位置は動いていき、そうして隊列を組んで接近する。

(もっと音を消したほうが良いのぉ、まぁ妾には関係無いがな。そぉれ、このまま近う寄れ)

夜の深みが極まって、木々を小さな音のさらに小さくで歩いてくる。

「きぃぃぃぇあぁぁぁぁっぁあ!!」

森に叫ぶ奇声で、刺客たちは身を震えさせた。森に反響して、位置の分からないままで、周囲を観察する。

鈴の音とともに、横列の最も左側の者が動きを止めた。木材の響く音が1つ。

「……??」

動きを止めたものの胴体が二日月の淡い暗さに照らされ、鮮明に赤を見える。

「あっあぁ……!!」

声を出してしまったのを塞ぐその者の隣に落ちるみずみずしい音。ふとその向きにいるのを見ようとすると、足元のある視線と目が合う。それからは赤が吹き出しており、少し瞳孔が動いていた。

「あぁ、あぁぁ!!なんだ、なんだよおい!!」

「警戒、警戒!!」

「なんだ、音なんてなかった……新しいベストロか!?」

「さっきの、叫びって……分からないでも、何かの縄張りに入った……?」

「中止だ、中止!!撤退す」

撤退を指示した瞬間、その者は胸元の違和感を触る。手のひらを赤くして、ただ疑問の中で消え行く意識の中で、やっと生命の危機を感じてしまった。

膝から崩れると呼吸ができず、口から血液が出て呼吸ができず、陸で溺れるようにして倒れた。

「隊長!?」

残る6人のうち一人が影を見て、短剣を高速で投げると、木材と鈴が響いた。

「……??」

音の響いたところに二人で接近すると、倒れる女が一人。投げた短剣が腹部に刺さって、呼吸を激しくしている。

「……あなた、何者?」

「……ふぅ、ふぅ」

死にかけの呼吸をしているのを見て、少し近寄る。握ったままいる長い木材に、その者は目を向けた。

「竹の……杖、東陸の人間か?」

「分からないけど……これ、不味いわね」

「送り込んできたのか……?」

「分からないわ、でもこのまま殺せば他国の情報が手に入らない……ベストロ関係でここ50年他国の情報がない、捕虜にしなきゃ、殺したらダメ」

「……?」

「しかもそれを私がとでもなれば……あなた、彼女を処置する。他のに見られる前に」

「……実績はお前に、か。はいよ、俺はまわり見とく。あとで分け前頼むぞ」

倒れた女人が、腹部に刺さった短い剣を弱々しく握る。

少し喘ぎながら引き抜こうとする。少し出る血は見えずらく、そしてほのかに酸っぱい香りがあった。

その者が一歩近付き、また一歩近寄ろうと足を上げた瞬間。短剣を、腹部を抉るようのして深く突き刺す。

「ちょっと……!」

慌てて近寄ったその者に、深く刺さったそれを勢いよく抜いて首もとに投げる。身を翻して避けながら懐から剣を取り出した瞬間鈴が強く鳴り響き、そして刺客は顔面に土をかけられる。その一瞬で詰めるナナミは竹の棒を喉に突き出して、喉仏を潰すようにして押し倒し、そのまま口を押さえて首の骨を折る。

音に気付いて走りこむ残り5人の刺客たちが音を囲うようにし、二人が矢を放つ。ナナミは死体を縦にして防ぎ、木に隠れるついでに矢を回収。左手で二本持って木の影を出ると、弓兵の一人の射撃に矢を一本投げて軌道を反らす。もう一人の弓兵の射撃を竹を右手で回して弾くと、目の前に出てきた剣を二本避け飛び上がり弓兵に飛びかかり、残った矢で首を引き裂いた。盾にしながら弓と矢の二本を回収して、引いて射撃しながら白兵の一人の膝を負傷させ、木に隠れて矢の射線から外れる。

(白兵3、弓兵1……)

鈴が強く鳴り響く。木に足をかけて一瞬で上り、姿を消した。

「弓兵を守れ!」

弓兵の周りに敵対者たちが集まり、静寂が訪れた。

「……」

弓兵士が突然上向きに矢を放って、ナナミが落下する。

(感が良いの)

着地して竹棒の尾のあたりを掴んで弓兵の喉に突くが、腹筋の力で耐えて姿勢を崩さない。

(……サヨナラ、じゃ)

その隙に包囲されてしまうナナミは、鈴を鳴らした。左後ろの敵対者が膝を負傷させているのを感じ、その方向に体を、中腰で溜めた脚で水平に、竹の杖の尾を投げるようしながら飛ぶ。投げられたはずの竹は尾の方から本体と分離し、真っ白に輝く薄めで片刃の刀身が見える。膝を怪我した刺客の動きで回避しながら、そうして曲線を描くように刀が投げ抜きされた。その竹の杖に偽装された隠し刀を両手で握ると、膝を怪我した敵対者の首を、下から振り上げるようにして斬り落とす。刀身の面で血を受け止め、振り払って残りの敵対者の目に血を入れて目潰しし、近い順に二人、斜め上から交互にきり伏せた。血を拭いた最後の敵対者である弓兵は矢をつがえて放つのを、落とした首を投げて命中させ、その胸元に首を投げつけた。

「うわっ!!」

怖じ気づいたそこを、人が1人ほどの長いので貫いて、弓兵が血を吐いた。

「……ぐあぁ」

隠されていた細い大刀をその胸から引き抜いて、晒された血を振り払う。真っ直ぐに血が地面にかかり、その者は竹の鞘を拾う。刀を真ん中で持って回転させながら持ち上げていき、両脇を大きく広げて鞘と切先を合わせ、滑らせるようにしていき中腰になって、敵が絶命したかを聞きながら、腰に据えるように納刀。

焚き火のあった方向へ向いて、歩く。

「モノノフたちよ。次なる生あらば、盃を持って語り合おうぞ。名をここに。我、夜修羅筆頭・魄抜き囃子、七海」

焚き火の方に向かって歩いていくと、1人の死体が転がっていた。

2025年6月3日時点で、997,634字、完結まで書きあげてあります。添削・推考含めてまだまだ完成には程遠いですが、出来上がり次第順次投稿していきます。何卒お付き合い下さい。

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