十二話 気性
十二話 気性
扉が叩かれる外で、白い髪の、茶色い羽織りを来た青年は、小銃を抱えて歩いてきた。横たわる貨車の扉を銃床で叩きつける兵士に銃をむける。
「……どけ」
「えっ……ああ……はい……」
「さっき撃っただろ?アイツのこと」
「……はい?」
「……黙ってきけ、いいか?許す、だから何もするな」
「……?」
青年は兵士を退かした。
「……この中に、確かにベストロが逃げ込んでいくのを確認しました。扉を塞ぐ知能があるようで」
青年は地面に銃を放つ。兵士は驚いた。
「……頼む、ちょっと離れてくれ」
「……えぇ?」
「……頼む」
「……はい……」
青年は、手に発煙筒を持った。青年は扉をに話しかけ始める。
「……燃える石炭の陰に、お前を見た。双眼鏡ってのは悲しいくらい性能がいい。服は確実にお前だった……全部燃えちまったな。俺がどう思ってるかって話なんだろうが……それは……いや、隠させてくれ。お前が俺にそれを隠すように、俺も……どうしても黙っていたいことがある……俺は……ひょっとしたら嬉しいのかもな」
扉の置くから、名前が聞こえた。
「ヴァルト、貴方は……」
「……分からねぇ、ただ」
ヴァルトは発煙筒を自身の真下に落とした。
「どうすれば良いかって、常に考えてるだけだ。これだけは言ってやるよ……ノイにも話してねぇ、忘れんな?ヨシミだ」
発煙筒は良質で、非常に広範囲を煙で包む。
「……今なら出られる。代わりの服……いや、くそデカイ布、俺が持ってる。それ被ってどっか走ってけ。痕跡は残せよ、辿らせる。お前がそこで守ってる奴にな」
扉は内側から開けられた。影は勢いよくヴァルトの隣を行く。
「……ありがとう、ヴァルト」
言い残した言葉は、透き通っていた。




