十五話 鉄の戦士
十五話 鉄の戦士
フアンが物陰から音を探っていた。兵士は、誰も生きていなかった。
「もう……僕らしか生きてない……」
ノイは聞き返す。
「たんく……?」
「大砲、機関銃、弾丸を貫通しない鉄の盾……最強を足し算したみたいな兵器だ。ガキの作った噂だと思ってたが、マジだったか……」
「どう……するの?」
「フアン、音の感じはどうだ?エンジン、この轟音の主の状態が知りたい」
フアンは音を聞いた。
「……どうでしょう、ただ怒ってるようにしか」
「スカしてるワケじゃないなら、ガソリンは満タン……燃料切れを狙うのはダメだな。お前ら、武器を出せ、考える」
フアンは爆弾数個と2本の刀剣にショットガン、ノイは戦棍と大砲を出した。アル=ライスはノイとフアンの持っている弾丸を持ち上げる。
「お前らの弾丸は……全部焼夷弾か。徹甲弾でもありゃ話は早いんだが」
「死神が対策でしかなかったですから……」
「必要以上は持たない、兵士の基本だ、しゃあねぇよ」
「もっと威力……」
ノイが手を低めに上げる。
「私が、やる?」
アル=ライスが呆気に取られる。
「何言ってやがるガキ……」
フアンが頷いた。
「いえ、実際アリです。ことその、戦車というのを破壊するなら、最良です」
「お前、何言ってやがる……!」
「ノイは、僕やリンデみたいに変形する武器を持っていません」
「それがどうした」
「変形する……機構の多い物というのは、大概は強い衝撃で壊れやすいものです」
「あぁ、だから細かい部品は優性を引いたものにしねぇと……まて」
「ノイはどう頑張っても変形武器を持てません。それほどの威力を腕力で叩き出せるんです。ベヒモスというベストロと力比べをし、城の囲いも殴って破壊する。ノイはそういうのができる人なんです」
「……分かった、じゃあノイを戦車にぶつけるとして、そこまでの道を考えよう。スモークは俺のは使いきった、死体になった仲間から回収する必要がある。だが誰のが残ってるかは分からねぇ」
「リンデの狙撃を待ってみますか?」
「確かにそろそろサプレッサーが冷えることだが……任せるワケにはいかねない。目標、戦車、必須は煙幕……くっそ、誰か生きてるスモーク持ちいねぇのかよ……」
フアンが周囲を見ていると、フレシェット弾の針が落ちている。フアンがそれを拾い上げる。周囲にはまだ何本かあった。アル=ライスと、フアンは視線を合わせる。
「あの、アル=ライスさん……仲間が動いていれば、いいんですよね……?」
「お前そりゃ……いや、でもよ」
「僕だったら、仲間を残して死ぬのなんか、本望じゃありません」
「仲間……か……そうだな、そう信じよう」
フアンは遮蔽ごしに、フレシェット弾の針を死体に投げて刺していく。
「……死神か蒼騎士か、どうなるかは五分だ」
それらはうごめき、身体は青ざめて、倒れた身体が動き始める。中には身体が破裂しそうになっているものもいる。
「お前ら……すまんな、おこしちまって」
建物のなかに死神が入ってくる。兵士の一人をアル=ライスが無力化すると、火炎放射器を受け取る。蠢いた死体が弾け飛び、蒼騎士といわれるモルモーンは姿を表した。その拍子に、筒のような爆弾が転がる。
「……ありがとな」
火炎放射器で蒼騎士を焼却すると、あまり動くことなく倒れる。フアンはその筒を手に取った。
「……これ」
アル=ライスがそれを受け取った。
「スモークグレネードだ、投げるのは俺に任せろ。お前とノイで、ぶっ飛ばしてこい!!仇討ちだ!!」
アル=ライスがスモークを起動させ、煙が広がるように転がして投げる。白煙が通り道を作り出すようにして張られる。
「いけぇ、ガキども!!」
フアンが先導してノイが戦車に突っ込んだ、戦車が煙に向かって機関銃を放ってこようとする、フアンは刀剣を投げて機関銃の覗く隙間を詰まらせ、射線が動かないようにする。ノイが接近すると、とりあえず拳で殴った。車体が動き、搭乗員が驚く。
「なんだ、砲撃かぁ!?」
フアンは声をかけようとする。
「ノイ、車体の扉を破壊し……てっ……」
ノイは動く、車輪に巻かれた帯のようなものごと素手で止めると、踏ん張って持ち上げ始める。砲台の後ろにある扉から兵士が出てくる。
「お前ぇぇ!!」
フアンが刀剣でその敵の腹を切り、ショットガンを放って車内へ吹っ飛ばし戻した、扉を閉じて散弾を装填する。。
「ノイ、やっちゃって下さい!!」
「うおあぁぁぁぁぁ!!!」
ノイは2門の砲台を積んだ鉄の塊である戦車を、車体を傾けて転倒させる。
半回転して虫のように転がった戦車から兵士が出てくる。フアンがそれを切って、開け放たれた扉に爆弾を投げる。
「ノイっ!!」
フアンはノイを抱えると地面に飛び込む。
車体は爆発し、ガソリンの匂いが舞い上がる。白煙が爆発で晴れてしまった。フアンとノイが燃え盛る兵士を後ろに囲われる。
「やっバイ……ね、これ」
「どうしましょ……」
兵士のたちの頭が側面から撃たれる。2発3発と撃たれ、兵士のたちは戦車の陰に隠れる。アル=ライスが、爆発の拍子に落ちた黒ススだらけの機関銃を拾う。銃口は広く筒のようで、照準器の側に平たい弾装を上に乗せたような形状をしている。
「くらえやぁぁ!!」
戦車の後ろ、建物の扉前、要塞化された至るところの窓などへ照準をし、引き金を引いて乱射する。薬莢が連続して落ちていくたびに敵が死ぬ。ほとんど照準できないで腰に構えるように撃ち込んでいく。皿のような弾倉を投げ捨てると、車載の機関銃を燃え盛った戦車から引き抜いて、弾帯を下げながら連射していく。見渡すかぎりのすべての敵を薙ぎ払うように銃撃した。
弾丸を撃ちきると同時に過呼吸のような状態でアル=ライスが銃を落とす。腕も身体も震え、倒れこんだ。
「はぁ、はぁ……これで………あぁ、全部かぁ?」
狙撃で扉前の兵士が倒れる。
「……んぁ?」
兵士が一人、バリケードを超えて入ってきた。
「隊長!!」
「……お前、リンデのところに」
「観測してる感じはてるはすべて片付けてあります。内部は未確認ですので、まずは遮蔽に」
兵士はアル=ライスを担ぐと遮蔽へ向かった。
「また暴れたんですか……キリングマシーン、さすがです」
「こんなののどこが強いってんだ……俺は……ただ運がいいだけの兵士だ。戦場に名誉なんてない」
スモークグレネード飛んできた。後方からシャノンや部隊が走ってくる。ノイとフアンが気付いた。シャノンが走ってノイやフアンに近寄る。
「すまない、ここからは任せてくれ!!」
リボルバーを構えたシャノンが、要塞化された工廠の駅へ向かっていった。




