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ブルートアウス ~意思と表象としての神話の世界~  作者: 雅号丸
第六章 蒼之肉叢

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十話 キリングマシーン

十話 キリングマシーン


フアン、シャノン、エリオットはエペソ学院の中央棟へ帰っていった。すると、正面玄関にほど近い区画が少し騒がしい。エリオットが若干前屈みになる。


「どうやら英雄は帰ってきたみたいだ」


フアンは疑問に思いながらも、エリオットが人だかりを避けていくのに付いていく。バリケードを登って、幾人かの兵士が帰還してきたようだった。エリオットが数を数えている。


「4、5……ははっ、やはり植民地兵は強いですね……アル=ライス!!」


エリオットと視線を会わせたその兵士は若干茶色みのある肌をしていた。


「……あぁ、あんたか。線路上に障害物はない、だが要塞から煙が上がっている。狙撃兵に確認させたが、ヒトを発見した」

「格好は?」

「ミルワードの兵士だ、陸軍。黒煙も見えた、ここ最近になって占拠ということは、王と都が生きている可能性も高い」

「今まで動きはなかったのに……いや、それでも生存している集団がいるというには素晴らしい。お手柄だ、お疲れ様」

「ふん……」

「気取るんじゃないよアル=ライス、キャラじゃないだろう?分隊員も、そんなこと知ってるよな!」


近くで小銃の整備をしていた兵士の肌は黒く、エリオットの声掛けは無視された。


「……まぁそうだよね、ごめんごめん」


茶色っけのある兵士たちは、溜め息をついた。


「……まぁ、コイツらのことは、毎度のことだが許してやってくれ」

「分かってるよ、アンタみたくミルワード人に寛容な人間の方が少ないってことくらい」


その兵士は、フアンとシャノンを見た。


「事情がどうやら変わったようだな……魔天、いや違うな、ただの服の趣味か。それに……ロード……!?ああっ、あっ、ちょっ、えっと……!!」


茶色っけのある兵士は、シャノンに寄りすぐにお徐義をした。エリオットがその慌てる様子を見て笑う。


「あっはは、慧眼だね。フアンくん、マイロード、紹介するよ。ソイツはラシド・アル=ライス、ミルワード植民地第31番出身」


シャノンは驚いたのを、エリオットが見る。


「アル=ライス……まさか、キリングマシーン!?」

「そうです。積み重ねた戦果の果てにミルワードで初の永住権を獲得、税金の免除すらされている兵士……」


アル=ライスは溜め息をついた。


「生き残るのに必死だっただけだ」

「そして謙虚……に見せかけて、内心褒められるは嬉しいタチです」

「おい!」

「あと、文字を読むのが遅い。年には敵わないみたいです」

「お前なぁ……」


シャノンはエリオットの笑顔を観察した。エリオットはアル=ライスに必要最低限で事情を説明した。木箱の上にアル=ライスは座り、担いでいた小銃を研く。


「凄いね、君は植民地人と仲が良いのかい……?」

「快く接してくれるのが彼だけ、というだけです。彼の率いる部隊は精鋭ですが、やはり仲良くはしてくれない。当たり前ですね、支配している側の人種ですし」


シャノンはアル=ライスにお辞儀をした。ハッとしてアル=ライスは立ち上がる。


「えっ、あの……!?」

「これは僕個人からです。普通は拒絶なさるのに、ありがとうございます」

「……いや、俺はただ、俺に迷惑かけてない奴を悪く扱えないだけだ」

「いえ、僕らは十二分に皆さんに迷惑を……」

「……あぁ、えっと」


エリオットが間に入った。シャノンが、若干近いエリオットを見上げる。


「とりあえず事情は説明しましたし、これからのこと、作戦会議します?」

「……そうだね、アル=ライス作戦はこのままお休みになられて下さい」


アル=ライスは立ち上がった。


「……いや、俺もいこう。帰ってくる途中、機関車を直す女を見た。懸念だった機関車の整備状況がよくなった以上、要塞への出兵は現実味を帯びている。現場を知る人間がいた方がいい」


フアンは、その場で中央棟見回した。


「……あの、ノイはどこに?」


アル=ライスがフアンを見る。


「よく知らんが、さっきメイスを持った女がバリケードを飛び越えていったぞ。目玉飛び出るかと思った、人間二人分はあるってのに……」

「あぁ、会いに行ったんですね。なら大丈夫そうです」

「驚かないんだな……あれか、外れ値ってやつか?」

「ですね、あなたもそうだったり?」

「どうだか……ただの悪運だろう」

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